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プロ野球

今ドラフト高校No.1投手・前田悠伍が求めたストレートの完成度。失意の夏を経て最後の最後にワールドカップで取り戻した輝き<SLUGGER>

谷上史朗

2023.10.26

 ここで終わっていれば、求めていたストレートの成長も持ち越しになるはずだった。しかし、まだワールドカップが待っていた。代表チームへの合流直前、前田は分かりやすく意気込んでいた。

「ジャパンはプロへの最後のアピールの機会だと思っています。世界一の結果を求めながら、自分自身、悔いのないピッチングをしてスカウトの人達にもしっかりと見てもらいたい」

 大学生相手の壮行試合から、アメリカ、韓国戦と徐々に調子を上げ、決勝の台湾戦。私はテレビでの観戦だったが、明らかにこの試合からストレートの強さが増した。しかも初回に失点した直後から。帰国後の前田も「段々上がってきてあの試合の、ほんとに途中から一段上がりました」と頷いていた。
 
 夏前の投げ込み不足も徐々に解消され、春先からの下半身を中心としたトレーニングの成果も表れ、そこへ負けられない思いが加わった。そして何より、本人が大きかったというのが二段モーションの効果。しっかりとタメを作り、効率良くボールに力が伝わった。いくつもの要素が絡み合い、高校生活最後の登板で「感触的にはこれまでで一番」のストレートを披露することができた。

 高校No.1投手が最後に納得の表情を取り戻して迎えるドラフトでは、運命がどこへつながっていくのだろうか。18歳にして極めて総合力の高い投手であることは間違いないが、実際のところは一軍起用を急ぐ必要のない球団との出会いがベストだろう。大学生投手の評価が高いとされる中、前田がプロからどんな評価を受けるのか。実に興味深い。

取材・文●谷上史朗

【著者プロフィール】
たにがみ・しろう。1969年、大阪府生まれ。30歳で脱サラ後フリーライターに。いまだSNSに馴染めない超アナログ派で気の向くまま取材し、雑誌『野球太郎』、web『sportive』などで執筆。著書に高嶋仁の半生を描いた『一徹』(インプレス社)などがある。

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