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MLB

ベースボールとファミリーをつなぐ存在へ――田澤純一が持ち込んだハイチュウはいかにアメリカで市民権を得たか<SLUGGER>

ナガオ勝司

2023.10.25

 当然、外国の文化が侵入してくることにも拒否反応が強い地域なので、そんな場所で日本のお菓子を量販するのは簡単ではないのだが、保守的な人々だからこそ、メジャーリーグという歴史の長いスポーツとの距離感が近いのかも知れない。

「アメリカ人にとっての野球って、バスケとかアメリカンフットボールと違って、家族でまったりと観戦できるスポーツだと思うんです。親子だけではなく、お爺ちゃんやお婆ちゃんの世代までの家族がまったりと楽しんでいる。そんなシーンにハイチュウを通じて家族との思い出深い時間を創ってほしい、という気持ちがありました」

 ボストン、シカゴ、ミネアポリスで成功を収めたハイチュウのスポンサーシップは現在、タイガースの本拠地球場にハイチュウ・カルセル(メリーゴーランド)、カーディナルスの本拠地球場にハイチュウ・ファミリー・パビリオン(広場)、そして、ミルウォーキーでは本拠地球場に隣接した子供たち専用のイベント球場に、ハイチュウ・ブルズアイ(ダーツ)が設置するなど、さらに拡散している。

 すべてのスポンサーシップは、子供とその家族を対象にしている。ハイチュウのプローモション活動を担当しているカブスのパートナーシップ・サービス・コーディネーターのハリソン・プラザ氏は、こう言った。
「カブスのような有名なブランド力を持つチームで、ファミリーとベースボールを結びつけるのに、スポンサーが大きな役割を果たしてくれている。それはアメリカ人にとってとても大事なことで、僕自身も人と人とをつなげる仕事をしていると『何か大事なことの一部分になれている』と実感できるんだ」

 ベースボールとファミリーという不変的な価値観の中、米国のキャンディー業界で確固たる地位を築いたハイチュウ=HI-CHEW。

 もしかしたら、大谷翔平の新天地でも、ファミリーとベースボールをつなぐ大切な役割を果たすかも知れない――。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO

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