当初、柴田は附属校の内部進学を目指していたが、学内審査で定員から漏れてしまう。慌てて大学の野球部のスポーツ推薦に方向転換するのだが、こちらも全国レベルで実績のある選手がエントリーしてくるだけに、「東東京大会4回戦進出」の柴田は苦戦を強いられ、なかなか合格が出ず、いつまでも保留扱いとなっていた。
「高校で終わらせてはいけないと思ったんです」と本橋は言う。
やむをえず、別の大学にも練習参加して受け入れ先を探した。すると、ある大学の監督が高く評価し、「日体大さんが採らないなら、ウチで面倒を見ます」と手形を出してくれた。
「日体大がダメでも、とにかく野球を続けたい」と考えていた柴田は気持ちを切り替え、その大学での4年間をイメージし始めていた。
話がほぼ固まりかけた段階に来て、その監督が、筋を通すという意味で、日体大の古城隆利監督に連絡を入れた。事情説明を受けた古城監督は、「少し待っていただけますか」と話を一度止めてもらう。
枠が足りずに手をこまねいていたが、附属校の選手だけに、出来ることなら手放したくはない。古城は最後のお願いのつもりで大学関係者に再検討を依頼し、もう一度、スポーツ推薦の入学内定者のリストを見直した。
そして苦心惨憺しながら、定員25名のスポーツ推薦の最後の1枠をなんとか確保。そこに柴田をねじ込むことが出来た。こうして二転三転の末、柴田は最初に希望していた日体大への入学が決まった。
日体大で、柴田は、野球人生に大きな影響を与えたひとりの指導者と出会う。辻孟彦投手コーチだ。
現役時代は日体大のエースとして、4年生の春にリーグ新記録のシーズン10勝を挙げ、リーグ優勝に貢献。2011年のドラフトで指名を受け、中日ドラゴンズに入団した。
プロ引退後、母校に戻り投手コーチに就任。近年は毎年のように日体大の投手がドラフトで上位指名を受けてプロ入りしていることから、その育成能力の確かさに評価が高まっている。
辻は、本橋や志賀が種を蒔き、芽を出させた柴田という苗木に、水や肥料を与える役割を果たしていた。その苗木は、大学4年間では花を咲かせることはなかったが、土の下にしっかりと根を張らせていった。
―――後編へ続く―――
取材・文●矢崎良一
「高校で終わらせてはいけないと思ったんです」と本橋は言う。
やむをえず、別の大学にも練習参加して受け入れ先を探した。すると、ある大学の監督が高く評価し、「日体大さんが採らないなら、ウチで面倒を見ます」と手形を出してくれた。
「日体大がダメでも、とにかく野球を続けたい」と考えていた柴田は気持ちを切り替え、その大学での4年間をイメージし始めていた。
話がほぼ固まりかけた段階に来て、その監督が、筋を通すという意味で、日体大の古城隆利監督に連絡を入れた。事情説明を受けた古城監督は、「少し待っていただけますか」と話を一度止めてもらう。
枠が足りずに手をこまねいていたが、附属校の選手だけに、出来ることなら手放したくはない。古城は最後のお願いのつもりで大学関係者に再検討を依頼し、もう一度、スポーツ推薦の入学内定者のリストを見直した。
そして苦心惨憺しながら、定員25名のスポーツ推薦の最後の1枠をなんとか確保。そこに柴田をねじ込むことが出来た。こうして二転三転の末、柴田は最初に希望していた日体大への入学が決まった。
日体大で、柴田は、野球人生に大きな影響を与えたひとりの指導者と出会う。辻孟彦投手コーチだ。
現役時代は日体大のエースとして、4年生の春にリーグ新記録のシーズン10勝を挙げ、リーグ優勝に貢献。2011年のドラフトで指名を受け、中日ドラゴンズに入団した。
プロ引退後、母校に戻り投手コーチに就任。近年は毎年のように日体大の投手がドラフトで上位指名を受けてプロ入りしていることから、その育成能力の確かさに評価が高まっている。
辻は、本橋や志賀が種を蒔き、芽を出させた柴田という苗木に、水や肥料を与える役割を果たしていた。その苗木は、大学4年間では花を咲かせることはなかったが、土の下にしっかりと根を張らせていった。
―――後編へ続く―――
取材・文●矢崎良一
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