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プロ野球

逸材を最も多く指名できた球団はどこなのか? 「ドラフト候補ランキング」から振り返る2022年のドラフト<SLUGGER>

西尾典文

2022.10.26

■阪神:D+
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:森下翔太(中央大/ランキング20位)
2位:門別啓人(東海大札幌高/ランキング21位)
5位:戸井零士(天理高/ランキング40位)

 1位で浅野翔吾(高松商)を外し、同じ右の外野手である森下を指名。大学生だが打撃の安定感には乏しく、一軍定着には少し時間がかかるように見える。投手で大きなプラスになりそうなのが2位の門別だ。高校生のサウスポーではナンバーワンと言える存在で、スケールと完成度を備えている。2年目か3年目には、ローテーション争いに加わることも期待できるだろう。最後にランクインしたのが5位の戸井だ。スローイングの強さは物足りないものの、攻守ともプレーの形が良く、貴重な右打者というのもポイントが高い。思い切って高校生を多く指名しただけにランクインした選手は少なかったが、将来性という意味では楽しみな指名だった。

■中日:D
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:仲地礼亜(沖縄大/ランキング13位)
6位:田中幹也(亜細亜大/ランキング23位)
育成1位:松山晋也(八戸学院大/ランキング49位)

 支配下でランクインした選手が2名は12球団で最少。1位の仲地は全国的な知名度は高くないものの、13位にランクインしていることからも分かるように、今年の大学生右腕では上位の実力と将来性を誇る。即戦力としては考えづらいが、近い将来ローテーションの柱となる可能性を秘めた選手だ。気になったのは2位以下の指名である。それぞれ特徴のある選手だが、全体的に順位が少し高い印象は否めない。6位で田中が残っていたのは幸運だったが、あらゆるポジションを補強しようとしてまとまりのない指名に終始したという印象だ。
 
■ソフトバンク:D-
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:イヒネ・イツア(誉高/ランキング19位)
4位:大野稼頭央(大島高/ランキング44位)
6位:吉田賢吾(桐蔭横浜大/ランキング48位)

 早々に1位を公言したイヒネは高校生内野手ではトップ評価だったが、全体で見れば19位と1位指名にしては低い。また、ランクインした残りの2人も40位以下と低く、12球団で最低の評価となった。イヒネはスケールの大きさは誰もが認めるところだが、典型的な未完の大器であり、いきなり1位入札はリスクが高いようにも見える。2位以下もどちらかというと完成度が低い選手が多く、2位で指名した社会人出身の大津亮介(日本製鉄鹿島)も、プロで1年戦うには未知数な点が多い。数多く指名すれば誰かしら出てくるという考え方かもしれないが、もう少し完成度の部分も重視すべきと考えて12番目の評価とした。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 

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