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大学野球

驚異の公式戦全試合登板! “投げさせない時代”に現れた鉄人右腕、駒大・福山優希はなぜ投げられるのか?

矢崎良一

2021.09.21

 数多の選手を見定めてきた仲井は、福山を「とにかく怪我をしない投手だった」と言う。しかしそれは、投手にとって最大の武器なのかもしれない。福山自身は、こう自己分析をする。

「僕は打者を見て、弱点を攻めていくタイプのピッチャーなので、相手のデータは多いほうがいい。でも、他の投手が投げている映像を見ても、自分のボールとは違うので、それを鵜呑みには出来ないでしょう。

 実際に対戦して、打者と対峙して、自分の感じたことや、受けているキャッチャー、ベンチにいる監督やコーチの意見も聞いて、『こうじゃないか』というのをまとめたいんです。そのためには、たくさん投げたほうがいいし、1戦目よりも連投になった2戦目のほうが考え方がまとまっている、ということもよくありますから」

 確かに過去の記録を見ても、福山は1年春の入れ替え戦のように、連投の2戦目に好投することが多い。その理由が、ひとつ導き出された。
 
 投げられるということは、機会を得られるということなのだ。そして、故障をしない身体があって、しっかり結果を出しているから、また投げさせてもらえる。勝利を目指すチームの指揮官は、当然、そういう投手がほしい。あるいは、そういう投手を作ろうとする。

 そのためには、ただ「丈夫だから」ではなく、コンディショニングも重要になってくる。駒大に帯同する石村紘一トレーナーに、福山の身体について聞くと、思わぬ答が返ってきた。

「特別、強いというわけではありません」

 この石村トレーナーの証言をもとに、“鉄人右腕”をもう少し掘り下げていきたい。

【後編に続く】

取材・文●矢崎良一

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