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「ダークが成し遂げた実績が、自分たちを代表チームに導いてくれた」ユーロバスケMVPのシュルーダーが同郷の英雄ノビツキーに感謝<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.09.17

ドイツは1993年以来2度目となるユーロバスケの頂点に立った。(C)Mansoor Ahmed / Ahmadphoto

 ラトビア、ポーランド、フィンランド、キプロスの4か国共催で開催された今年のユーロバスケット。9月14日に行なわれた決勝戦では、2023年のワールドカップ王者ドイツが、勢いに乗るトルコを88-83で下して金メダルを手に入れた。

 今大会のドイツ代表で特筆すべき点は、デニス・シュルーダー、フランツ・ヴァグナー、ダニエル・タイスといったコアメンバーに、トリスタンとオスカルのダ・シルバ兄弟のような新戦力が加わったことだ。

 大会終了後、アラン・イブラヒマジッチ代理HC(ヘッドコーチ)はこのチームの魅力とポテンシャルを次のように語った。

「このグループは、長年ともに戦ってきた7、8人のコアメンバーが中心だ。しかしそれでいながら、新メンバーが入ってきた時には、大きくドアを広げて、グループに受け入れる空気がある。全員が友達のような関係性で、ダニエル・タイスなどは、『夏が来て、代表メンバーで集まるのが待ち切れない』と話しているくらいだ。

 もちろんそれだけではなく、新メンバーは、新たなクオリティーも加味してくれる。トリスタンのシュート力は、決勝まで辿り着いたひとつの大きな要素になった。すでに質が高かったグループに、さらなる新戦力が加わったのが、このドイツ代表なんだ」
 
 チームの先輩F・ヴァグナーがプレーするオーランド・マジックに、去年のドラフトで入団したトリスタンは、ヴァグナーとシュルーダーの2人が、いかにチームを引っ張っているかに言及。

「トレーニングキャンプの初日から、彼らのリーダーシップを目の当たりにした。まさに行動で示すという感じで、声も出してくれる。彼らにアテンションがいくことで、僕らは伸び伸びプレーできるし、彼らは本当に自己中心的な部分がなく、いつもチームのためにプレーしてくれる。それが、僕たちにとても居心地のいい環境を作ってくれているんだ」

 トルコとの決勝戦でも、トリスタンは3ポイント3本を含む13点、4リバウンドと、流れを引き戻したい場面で多大な貢献をした。

 試合後のセレモニーを終え、ドイツの会見が始まった頃には、日付は15日に変わっていた。奇しくもこの日はシュルーダーの32歳の誕生日。会見の最中にチームメイトたちが乱入し、大会MVPのキャプテンを盛大な水シャワーで祝った。

 愛息子を隣に座らせて会見に臨んだシュルーダーは、「金メダルは確かに嬉しいけど、何より家族がここにいてくれること、彼らは毎日僕を支えて、最高の状態でパフォーマンスを発揮できるようにしてくれているんだ」と家族への感謝も口にした。
 
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「金メダルのため自分にできることをすべて出し尽くすのが役割」