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球宴の人気低下の打開策として様々な改革を断行するNBA。新方式を採用する今年は興奮を取り戻せるか?【NBAオールスター全史|2010~19年】

出野哲也

2020.02.15

緩慢なプレーを嫌い、球宴の舞台でも真剣勝負を繰り広げたコビー。今年のオールスターでは彼の背番号にちなんだ新ルールが導入される。(C)Getty Images

 2月14~16日(日本時間15~17日)に開催される年に一度の祭典、NBAオールスター。東西のスーパースターが一堂に会する本戦をはじめ、スラムダンク・コンテストや3ポイントコンテストといった各種イベントが行なわれるこの夢舞台に、今年は八村塁(ワシントン・ウィザーズ)がライジングスターズ(キャリア1、2年目の選手が覇を競い合う若手版オールスター)にチームWORLD(アメリカ国籍以外の選抜メンバー)の一員として参戦。日本のファンからの注目度も、これまでにないほど高まっている。

 このお祭りを余すことなく楽しむためにも、今一度これまでの大会を振り返っておくべきだろう。近年の球宴は高得点ゲームが連発し、両軍合わせて300点を超えることも珍しくなくなった。しかし以前に比べて真剣勝負の印象は薄れており、その打開策としてドラフトによるチーム編成や一夜限りの変則ルールなど、様々な改革を行なっている。
 
■バスケの世界的な発展で球宴の価値も徐々に低下

"ショータイム・オールスター"は加速化の一途をたどり、15年に両軍合わせて321点の新記録が出たかと思えば、翌16年は一気に369点まで上昇。15年のラッセル・ウエストブルック(オクラホマシティ・サンダー)、16年のポール・ジョージ(インディアナ・ペイサーズ)の41得点は、ウィルト・チェンバレンの大会記録(当時)にあと1点と迫るものだった。

 11年に37得点をあげ4度目のMVPとなったコビー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)は、翌12年は27得点で、マイケル・ジョーダンを抜いて通算得点で1位になった。さらに同年にはレブロン・ジェームズ(マイアミ・ヒート)が史上3人目のトリプルダブルを達成。16年にはコビーの通算得点を抜いて歴代トップに浮上したが、試合の真剣度が当時と今とでここまで違っていると新記録も色褪せてしまう。

 カンファレンス同士の対抗意識は完全に過去のものとなっていて、近年は選手もファンも、勝敗にはほとんどこだわりがないといっても過言ではない。元プレーヤーで評論家のチャーリー・ローゼンは、「最近の球宴はまるでゴーリーのいないアイスホッケー。48分間のたるみきった、けばけばしいだけでクズ同然のバスケットボール」と痛罵している。
 
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バスケの国際的な人気が逆にオールスターの地位低下に