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「マイク(ジョーダン)のようになりたかったけど、真似はしたくなかった」レジェンドのアイバーソンが語る“自分らしさ”<DUNKSHOOT>

ダンクシュート編集部

2025.10.24

アイバーソンはジョーダンに憧れていたが、真似はしたくなかったという。(C)Getty Images

 殿堂入り選手のアレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)は、華のあるプレー、そして「大事なのは身体のサイズじゃない。"ハートのサイズ"だ」の名言に代表される生き様で、人々の記憶に深く刻まれている。

 そんなレジェンドは、"神様"マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)に憧れつつも、「真似はしたくなかった」と明かしている。

 183cm・75kgのアイバーソンは、1996年のドラフト全体1位でシクサーズに入団すると、瞬く間にチームのエースに就任。切れ味鋭いドリブルを武器に得点を量産し、2000-01シーズンには平均31.1点をあげて得点王に輝くとともに初のシーズンMVPを受賞し、プレーオフではチームをファイナルに導いた。

 NBAでは通算914試合に出場して平均26.7点、6.2アシスト、2.17スティールを記録。通算2万4368得点は歴代30位、1983スティールは14位にランクしている。

 さらに、その自由な生き方やヒップホップ系のファッション、全身に彫られたタトゥーはティーンエイジャーの憧れとなり、カルチャーアイコンとなった。

 しかし、アイバーソンは『CBS Evening News』のロングインタビューで、「本当はそうじゃないのに、俺はチンピラや悪党呼ばわりされた。見た目で判断されるのは、最も辛かったことのひとつだ。リーグに入った時、俺はまだ21歳だったからね」と若手の頃は周囲の目に頭を悩ませていたと明かした。

「近所の年上の連中みたいな格好をしていたんだ。彼らに憧れて、同じように着こなしたかった。ただ、当時はお金がなかったから、着たい服を着れるようになったら、そうしようと決めていた。試合が終わったら、たぶんクラブに行く。スーツなんて着るわけないだろ? 当時21歳だった。葬儀や教会、法廷にスーツを着て行くことには慣れている。そういうイメージだったんだ」
 
 一方で、プレーに関しては「ずっとスーパーヒーローになりたかった」とし、その思いの根源にあったのはジョーダンの存在だったという。

「アレン・アイバーソンが今あるすべては、マイクから学んだことだ。マイクがやったことのすべてを、俺もやりたかった。正確に言うと、俺はマイクのようになりたかったんだ」

 もっとも、「バスケットボールに関してはマイクのようになりたいとは思っていたけど、マイクの真似はしたくなかった」と、"こだわり"も明かしている。

「ほかの誰かになりたがるのは、自分を軽んじている気がした。ほかの誰かはすでに、その人のものだからね。そういう考えを持ち続けてきた。自分への自信と信念はずっと変わらなかった。自分らしくあり続けたかったんだ。今の自分に満足しているし、そもそも他人になりたがる理由なんてない。ほかの選手はみんな、自分のことで精一杯なんだから」

 アイバーソンは2015年、『The Players' Tribune』のインタビューで、「40歳になった今、もう自分を守る必要はない。もうそんなのは終わりだ。俺を認めない人にとっては悪役だけど、俺を愛し、大切にしてくれる人にとってはスーパーヒーローなんだ」と重責から解放されたことを明かしていた。

 それから10年――アイバーソンは改めて、自分らしい生き方を貫いてきたことに誇りを感じていた。

構成●ダンクシュート編集部

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