東京五輪

男女ともにバスケ界の強豪に君臨するスペイン代表。日本でも指揮を執る女子代表ヘッドコーチが明かす強さの秘訣とは?

小川由紀子

2020.02.23

40歳の大ベテラン、パラウは2002年からスペイン代表の司令塔として活躍。今夏は東京で、同国初の五輪金メダル獲得を目指す。(C)Getty Images

 2月6~9日にかけて行なわれた女子バスケットボールの東京五輪最終予選。中国、韓国、イギリスと戦った女子スペイン代表は、中国に2点差で敗れたものの、2勝1敗で2大会連続5度目の五輪出場を決めた。昨年のユーロバスケット(欧州選手権)を制したヨーロッパ女王は、この夏、堂々と東京に乗り込んでくる。

 スペインというとサッカーのイメージが強いが、男女ともにバスケットボールでも強豪国として世界に名を轟かせている。男子代表は昨年のW杯で頂点に立ったほか、U18、U16の欧州選手権でも優勝、U20で準優勝とあらゆるカテゴリーで世界トップレベルに君臨。女子も、2013年以降の主要国際大会ですべて表彰台に上り、世界ランキングはアメリカ、オーストラリアに次ぐ3位。アンダーカテゴリーでも、昨年のU19W杯で3位と、常に安定した成績を残し、アメリカに次ぐランキング2位につけている。
 
 では、スペインが絶えず優秀な選手を輩出し続けている秘訣はいったいどこにあるのか。現在日本のWリーグ(バスケットボール女子日本リーグ)、トヨタ自動車アンテロープスのヘッドコーチも兼任する、スペイン女子代表のルーカス・モンデーロHCは、「子どもの時から厳しいコンペティション(競争)でもまれて育つこと」を大きな要因に挙げた。

 2009年にU19代表のヘッドコーチとしてナショナルチームのコーチングスタッフに参画したモンデーロは、U20代表を経て、12年の五輪予選敗退後にトップチームの指揮官に迎えられた。以後参戦したユーロバスケット4大会、リオ五輪、2度のW杯すべてでメダルを獲得と、傑出した成績を残している。

「スペインでは、細かく分けた地域ごとに、まずその地域のトップ12人をセレクトする。その中から、協会の管轄下に置かれたエリア代表のメンバーが選ばれる。選手たちは、子どものころから注目が集まる中でプレーするプレッシャーにさらされ、同時に両親の期待を背負うなど、タフな環境下で競技を続けていくのだ」

 各年代ごとに、スペイン全土でおよそ200人がセレクトされ、その中からアンダーカテゴリーの代表に選ばれるのは30~40人程度。13歳になると選手権にも参戦して、ハイレベルのコンペティションを経験する。そして14歳、15歳と、同じようにスペイン中から200人ほどがセレクトされては絞られる、というプロセスを、選手たちは成長過程の中で繰り返す。常に目利きのスカウトたちの視線を浴びながらプレーすることで切磋琢磨を続けていくのだ。そうして年代ごとに選び抜かれた精鋭たちは、協会が設定した教育プログラムに基づく指導を受ける。
 
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一貫した育成システムの下、鍛え上げたメンバーで東京五輪へ