NBA

「マイケルは私をテストしていた…」スティーブ・カーが明かす、ジョーダンとの絆を深めた25年前の“殴り合い事件”

ダンクシュート編集部

2020.04.25

カー(左)は復帰間もないジョーダン(右)とのある“事件”がきっかけで絆を深めることができたと語る。(C)Getty Images

 シカゴ・ブルズが最後に優勝した1997-98シーズンに密着して撮影したドキュメンタリー10部作『ザ・ラストダンス』の放映が始まり、当事者や往年のレジェンドたちが当時を回想する機会が増えている。1993~98年までブルズに在籍したスティーブ・カー(現ゴールデンステイト・ウォリアーズHC)が72勝をマークした95-96シーズン開幕前に起こったマイケル・ジョーダンとの"事件"を振り返った。

 1991~93年に史上3チーム目の3連覇を達成したブルズは、翌シーズンの開幕前にジョーダンが電撃引退し、"第2の男"だったスコッティ・ピッペンを中心としたチームに切り替わった。アキーム・オラジュワンを中心としたヒューストン・ロケッツに王者の座を譲り渡す形となったなかで、95年3月にジョーダンが「I’m back」(復活だ)の名言とともに復帰。翌シーズンからデニス・ロッドマンを加えた"三銃士"を中心に2度目の3連覇を成し遂げた。
 
 1994-95シーズン途中に復帰するも、野球挑戦で錆びついていた身体のキレを取り戻せず、カンファレンス準決勝でオーランド・マジックに苦杯を舐めたジョーダンはオフに徹底的に自分をいじめ抜いた。その結果、95-96シーズンは平均30.4点をマークして得点王に返り咲き、ブルズも当時のNBA記録となる72勝をあげた。

 充実のシーズンを迎える直前の1995年秋、トレーニングキャンプである事件が起こった。熱い練習を行なうなかでジョーダンとカーがトラッシュトークを繰り広げ、互いにヒートアップ。もみ合いとなり、ジョーダンがカーの顔面にパンチを入れる騒動に発展した。チームメイトが仲裁に入ってその場は収まったが、カーの目の周りにはアザができるほどの激しい衝突だった。

 1993年9月にブルズと契約したカーは、その約1週間後にジョーダンが引退したため、共闘期間はわずか2か月。その時点で、偉大なエースの信頼を勝ち得ている存在ではなかった。それでも、身長191cm・体重82kgの身体で、198cm・98kgのスーパースターに立ち向かったことを『TNT』の解説者時代に明かしている。
 
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「どうやら私は殴られたけど、当たったことすら覚えていない」