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ミラクル・ニックスやジョーダンの“ザ・ショット”…NBAのプレーオフ史に残る名アップセット10選を紹介【前編】

ダンクシュート編集部

2020.06.17

99年のニックスは1回戦で第1シードのヒートを破り、初めて第8シードからファイナル進出を果たした。(C)Getty Images

 勝利こそすべてのプロスポーツリーグにおいて、最大の醍醐味とも言えるのが、弱者が強者を倒す"ジャイアントキリング"だ。NBAのプレーオフ73年の歴史のなかで、今も語り継がれる名アップセット10選をお届けしよう。

■01
1998-99 イースタン・カンファレンス1回戦/セミファイナル/ファイナル
ニューヨーク・ニックス
レギュラーシーズン:27勝23敗(.540)/第8シード

1回戦相手:マイアミ・ヒート
レギュラーシーズン:33勝17敗(.660)/第1シード
Game 1:ニックス○95-75●ヒート
Game 2:ニックス●73-83○ヒート
Game 3:ニックス○97-73●ヒート
Game 4:ニックス●72-87○ヒート
Game 5:ニックス○78-77●ヒート

 ロックアウトの影響でレギュラーシーズンが50試合に短縮されたこの年、9位と1勝差で辛うじてプレーオフに滑り込んだニックスは、奇跡の快進撃を見せる。1回戦では、過去2年連続で死闘を繰り広げた宿敵ヒートと激突。初戦を20点差で快勝したが、その後は試合ごとに明暗が分かれ、2勝2敗で迎えた最終第5戦はシリーズを象徴するような大熱戦となる。1点を追うラストポゼッション、ニックスは1度はシュートを阻まれるも、残り1秒にアラン・ヒューストンが難しい体勢からジャンパーを決めて逆転。敵地のファンを黙らせる劇的な勝利で、第1シードを下した史上2度目の第8シードチームとなった。
 
Cセミファイナル相手:アトランタ・ホークス
レギュラーシーズン:31勝29敗(.620)/第4シード
Game 1:ニックス○100-92●ホークス
Game 2:ニックス○77-70●ホークス
Game 3:ニックス○90-78●ホークス
Game 4:ニックス○79-66●ホークス

 1回戦突破の立役者となったヒューストンとラトレル・スプリーウェルは、続くホークスとのシリーズでも躍動する。初戦は2人で65得点を稼ぐと、第2戦はスプリーウェルが前戦に続く31得点。チームディフェンスも冴えわたり、第2戦以降は相手を80点以下に封じ、特に第4戦はわずか66点しか許さず完勝を収めた。

Cファイナル相手:インディアナ・ペイサーズ
レギュラーシーズン:33勝17敗(.660)/第2シード
Game 1:ニックス○93-90●ペイサーズ
Game 2:ニックス●86-88○ペイサーズ
Game 3:ニックス○92-91●ペイサーズ
Game 4:ニックス●78-90○ペイサーズ
Game 5:ニックス○101-94●ペイサーズ
Game 6:ニックス○90-82●ペイサーズ

 もはや怖いもの知らずのニックスは、カンファレンス決勝でもペイサーズ相手に主導権を握る。第3戦では3点ビハインドの残り5.7秒にラリー・ジョンソンが4点プレーを決めて逆転勝ち。この試合以降、主砲パトリック・ユーイングをケガで失ったものの、マーカス・キャンビーが八面六臂の活躍で穴を埋め、5、6戦目に連勝。史上初めて第8シードからファイナル進出を果たした。最終決戦ではスパーズの前に力尽きたものの、この年の彼らはまさしく"ミラクル・ニックス"と呼ぶにふさわしかった。
 
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