NBA

現地記者が八村塁の“1年”を総評「当初、彼の指名は理解できるものではなかったが…」

秋山裕之

2020.06.21

今から1年前のドラフトで八村は日本人初の1巡目指名(9位)を受け、ウィザーズに入団した。(C)Getty Images

 6月20日(日本時間21日、日付は以下同)。『NBC Sports Washington』へ、チェイス・ヒューズ記者による"ワシントン・ウィザーズの八村塁から我々がこれまでに学んだこと"と題した記事が掲載された。

 今からちょうど1年前の2019年6月20日は、NBAドラフトが開催された日であり、ニューオリンズ・ペリカンズが1位でザイオン・ウィリアムソン、メンフィス・グリズリーズが2位でジャ・モラントをそれぞれ指名。

 そして1巡目9位で、ウィザーズがゴンザガ大学のエースで、日本の至宝でもある八村を指名し、日本中が沸いたことは記憶に新しい。

 日米から熱視線を集めた八村は、ドラフト指名後の会見から大勢のメディアに囲まれ、その勢いはサマーリーグやプレシーズンでも衰えることはなかった。ウィザーズは日本語版のコンテンツを立ち上げ、公式ホームページや公式Twitterアカウント、さらにはインスタグラムのアカウントも開設し、NBAからも注目されるチームのひとつとなった。

 開幕から先発パワーフォワードの座を実力で勝ち取った八村は、昨年12月中旬に鼠径部を痛めたことで約1か月半を戦線離脱したとはいえ、ここまで41試合に出場して平均29.7分、13.4点、6.0リバウンド、1.7アシスト、フィールドゴール成功率47.8%、フリースロー成功率82.9%という成績を残している。

 ここからは、現地記者が綴ったここまでの八村について紹介していきたい。
 
<現地記者が挙げたウィザーズの八村塁から我々がこれまでに学んだこと>

■下馬評よりも高い順位で指名
"毎年、モックドラフトが複数のメディアで展開されているのだが、それが必ずしも正しいものではない。多くのファンからすれば、八村の指名順位は高すぎるという印象であり、デューク大のキャム・レディッシュ(10位指名/アトランタ・ホークス)を指名してほしかった、と嘆いた者もいる。実際、八村は1巡目20位あたりの指名だと思っていた。

 だがウィザーズはワン&ダン(大学1年終了後にアーリーエントリーする選手)をしていない、見落とされている良い選手を見つけ出したのである。この男が最終的にスターになるかどうかは今後の展開を楽しみに待とう。だがドラフト当初、彼の指名はファンが理解できるものではなかったのである"。

 レディッシュは昨年8月下旬に『NBA.com』で公開されたルーキー・サーベイ(ドラフト同期の選手が質問に対して投票するもの)で、「今年のルーキーでベストなキャリアを送りそうな選手は?」という質問で全体トップとなる19%の得票率を得たスウィングマン。

 オールスター後の10試合で平均16.4点をマークしたものの、シーズン平均(26.7分、10.5点、3.7リバウンド、1.5アシスト)ではいずれも八村が上回る結果となっている。