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コビーらと制した北京五輪の舞台裏を名将コーチKが懐古「最初の練習で、彼は全くショットを打たなかった」

秋山裕之

2020.10.18

コビーは当初、、ディフェンシブストッパーとしての役割に徹しようとしていたという。(C)Getty Images

 10月14日(日本時間15日、日付は以下同)に公開されたJJ・レディック(ニューオリンズ・ペリカンズ)のポッドキャスト番組「The Old Man and the Three」へ、デューク大の名将"コーチK"ことマイク・シャシェフスキー・ヘッドコーチ(HC)が出演した。

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 番組内で教え子とのトークを楽しんだコーチKは、今年1月末にヘリコプター墜落事故で他界したコビー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)とのエピソードを明かした。

 2006年から16年まで、アメリカ代表の指揮官も務めたコーチKは、02年のFIBA世界選手権(6位)、04年のアテネオリンピック(3位)、06年のFIBA世界選手権(3位)で金メダルから遠ざかっていたアメリカ代表を再び優勝へと導くべく立ち上がった。そこで鍵となる働きを見せたのが、他ならぬコビーだった。

「我々がアメリカ代表のカルチャーを構築するうえで、(コビーと)ジェイソン・キッド(現レイカーズAC)、チャンシー・ビラップス(現ロサンゼルス・クリッパーズAC)を加えたんだ。北京(08年のオリンピック会場)に向けて準備は万端だった」とコーチK。
 
 08年の北京オリンピックで、アメリカ代表はレブロン・ジェームズ、ドゥエイン・ウェイド、カーメロ・アンソニー、ドワイト・ハワードなど、当時リーグトップレベルの選手たちを招聘し、ベストメンバーに近いロースターを構築した。

 ビラップスこそ本戦に出場しなかったものの、コビー、キッドというベテランを加えたことでチームは見事にまとまり、準決勝でマヌ・ジノビリ率いるアルゼンチンを101-81、決勝でパウ・ガソル擁するスペインを118-107で下し、2大会ぶりの優勝を勝ち取った。

 コビーはスペインとの決勝のラスト8分間で13得点(計20得点)をマーク。4ポイントプレーを完遂させて相手の息の根を止め、アメリカ代表の汚名返上に大きく貢献していた。コーチKは当時のコビーについてこう振り返っている。

「彼は私にこう言ったんだ。『私は対決する全てのチームのベストなペリメータープレーヤーをガードしたい』とね。当時の彼は得点王にも輝いていて、リーグでもベストプレーヤーだった。そこで彼は(NBAで優勝するために)変化の必要性を感じ、リーダーになろうとしていたんだ。皆も知ってるように、彼と(マイケル)ジョーダンは同じような目を持っている。目だけで相手を威圧してしまうんだ。そこで彼は『コーチ、私は相手選手を叩きのめすと約束します』と言ってきたんだ」