NBA

“スーツの男”からユーロリーグのスター選手へ。ジョーダン・ロイドが描く夢は「アメリカ代表としてプレーすること」

小川由紀子

2020.12.21

“スーツの男”としてトロントで有名になったロイドだが、今ではユーロリーグのスター選手として認知されるようになった。(C)Getty Images

 今シーズンのユーロリーグで、一際目立つ活躍を見せているアメリカ人選手がいる。セルビアのレッドスター所属のコンボガード、ジョーダン・ロイドだ。

 第15節を終えた現在、総得点でリーグ首位。これまで全試合にスターターとして出場し、平均得点、アシスト、スティール数でチームハイと、文字どおりエースとしてチームを牽引中だ。チームはここまで5勝10敗で16位と苦戦しているものの、ロイドの評価は試合を追うごとに高まっている。

 第2節のバスコニア戦でキャリアハイの30得点をマークし週間MVPに選出されると、第5節ではCSKAモスクワ相手に31得点をあげ自己ベストを更新。強豪を僅差で破ったこの試合で、ロイドは第4クォーター開始まもなく4回目のファウルを犯すも、残り35秒に相手のファウルを誘いフリースローを2本沈めて同点に持ち込むと、オーバータイム終盤の3分間で連続9得点を稼ぎ出し、チームを勝利へと導くヒーロー級の活躍を見せた。
 
 ロイドは、2019年にNBAチャンピオンに輝いたトロント・ラプターズの一員だった。2WAY契約を結んでいたなかで12試合に出場し、平均4.6分のプレータイムで2.4点。存在感を示すまでには至らなかった彼をプレーで記憶している人は多くはないだろう。ただ、彼はひょんなことで知名度を上げている。

 フィラデルフィア・セブンティシクサーズとのイースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦、カワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ)がブザービーターの決勝ゴールを決めてラプターズは劇的な勝利を収めたが、シュート直後に放心状態で座り込んだレナードの隣で、スーツ姿で写真に写りこんでいたのがロイドだった。

 ニュースを伝えたキャスターが、「カワイ、(ジョエル)エンビード(シクサーズ)、そしてスーツ姿の男(Random Guy in a Suit)」とこの写真を紹介していたのを見たロイドは、優勝後のパレードに『Random Guy in a Suit』とロゴを入れたTシャツ姿で登場。これがまた話題となった。
 
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