国内バスケ

地域スポーツを活性化の“元気玉”に。B3リーグさいたまブロンコスの新たな挑戦

保坂明美(THE DIGEST編集部)

2021.01.15

さいたまブロンコスの代表に2020年3月に就任した池田純氏。チームとともに地域を活性化させたいという思いがある。

 1月16日、バスケットボールのB3リーグが開幕する。さいたまブロンコスの代表に2020年3月に就任した池田純氏は、かつて横浜DeNAベイスターズの代表取締役社長、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)や日本ラグビーフットボール協会(JRFU)の特任理事を務めた経歴を持つ。池田氏にとって初めての経験となるバスケ界への挑戦について、その経営理念や、スポーツで地域を活性化させるために重要となることなどを聞いた。

「就任したときはゼロ…ではなくマイナスからのスタートでした」と開口一番厳しい現実だったと話す池田氏。チームには借金という負の遺産があり、いきなり資金繰りから始まったという。同時に新規のスポンサー獲得にも奔走し、約半年かけて整理し終えた。

 さいたまブロンコスは、マツダオート東京バスケットボール部を前身に持ち、bjリーグ時はスポンサー収入、観客動員も含め、それなりに人気はあった。しかし、2016年Bリーグ発足時にB3からのスタート。人気も低迷し、浦和レッズや大宮アルディージャ、埼玉西武ライオンズといった人気チームに遅れをとっていたのは事実だ。現在、「さいたまスポーツコミッション」(※スポーツイベントの誘致と開催支援を通じて観光や交流人口の拡大を図り、スポーツの振興と地域経済を活性化することを目的として組織された団体)の会長でもある池田氏が、自らさいたまブロンコスの再生に携わったのも、この活動があってこその流れであり、何よりもともと地域マーケティングに関心を持っていたということが、影響している。
 
 チーム再建の一歩はチーム名を漢字の「埼玉」から、「さいたま」に変更。チームカラーやロゴも新しくすることだった。また、全試合を無料にするために動いたが、リーグの判断でそれはかなわず、妥協案として開幕戦と2戦目を無料で観戦できることとなった。

「埼玉の人たちにとってチームが"気にならない存在"になっていたのが一番いけなかった。発信をしていくことで"気になる"存在になっていかないといけない」池田氏は、それほど地元の人たちとチームには距離ができていると感じていた。とにかく何かをしなければ、という思いだった。