2020年1月26日、世界中に衝撃を与えたロサンゼルス・レイカーズのレジェンド、コビー・ブライアントの事故死。あれから1年……。コビーの肉体は滅びたが、その勇姿はファンの心に永遠に刻み付けられている。ここでは彼の20年の激闘譜のなかから、後世に語り継ぐべき名勝負を紹介する。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
■2014年12月14日 vsミネソタ・ティンバーウルブズ
コビーにとってマイケル・ジョーダンは幼少期から憧れの人物であると同時に、いつか追い越すべき存在だった。そしてキャリア19年目の2014-15シーズン、12月14日に行なわれたウルブズ戦で、新たな歴史を刻むことになる。
ジョーダンの通算得点(3万2292点)まであと8点に迫って迎えたこの試合。第2クォーター残り5分24秒、ザック・ラビーンのファウルを誘ったコビーはいつもと変わらぬ様子でフリースローラインに立つ。そして冷静に2本とも成功。この瞬間、ジョーダンの記録を追い越してリーグ歴代3位に浮上したのだ。
2本目を沈めた直後、敵地にもかかわらず、ウルブズファンはスタンディングオベーションでコビーの偉業を称えた。ゲームも一時中断となり、ウルブズオーナーのグレン・テイラーからコビーに記念ボールが贈られた。
チームトップの26得点をマークしたコビーは試合後、「普段とは違う雰囲気だった。俺はいつも敵地で悪役になることに慣れているから、気持ちを整理するのに少し時間が必要だった」とコメント。ジョーダンの記録を超えたことについては、「彼から多くを学ぼうとしている。これまでの自分の成功とキャリアの多くは、彼が占めているんだ。アドバイスをくれたりするし、こうした関係こそが俺にとってすべてと言える」と、ジョーダンの存在が自分を作り上げたと語った。
一方のジョーダンも、AP通信の取材に「このマイルストーンの達成を祝福する。コビーは明らかに偉大な選手で、バスケットボールに強い情熱を抱いている。私は彼のゲームが進化するのを何年も見届けてきたし、次に何を成し遂げるのかも楽しみなんだ」と褒め称えた。なお、ジョーダンはコビーに直接お祝いのテキストメッセージも送ったという。
レイカーズの先輩であり、コビーが幼少期に「大好きな選手」と公言していたマジック・ジョンソンは、「これまでマイケル・ジョーダンのような選手を見たことがなかったように、今後コビー・ブライアントのような選手を見ることもないだろう」と、記録だけでなく、プレーヤーとしてもコビーがジョーダンと肩を並べる存在となっていると認めた。
コビーは16年4月に引退するまでの約1年半で、3万3643点まで数字を伸ばしたが、記録はいつか破られるもの。キャリアを通じて多くのレコードを更新してきたコビーも、自身が積み重ねたものを塗り替えられることは把握していた。そして現役引退から4年後の20年1月25日のレイカーズ対シクサーズ戦、レブロン・ジェームズが記録を追い越し、歴代3位に浮上した。コビーは前のシーズンにレイカ―ズに加入したレブロンに対して「これからも前に進み続けろ」とツイッターで祝福。しかし弟分へエールを送った翌日、レジェンドは悲劇に巻き込まれ、帰らぬ人となってしまった。
文●大橋哲也
※ダンクシュート『コビー・ブライアント追悼号』原稿に加筆・修正
【PHOTO】「Mr.レイカーズ」&「Mr.NBA」史上最高のスーパースター、コビー・ブライアント特集
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
■2014年12月14日 vsミネソタ・ティンバーウルブズ
コビーにとってマイケル・ジョーダンは幼少期から憧れの人物であると同時に、いつか追い越すべき存在だった。そしてキャリア19年目の2014-15シーズン、12月14日に行なわれたウルブズ戦で、新たな歴史を刻むことになる。
ジョーダンの通算得点(3万2292点)まであと8点に迫って迎えたこの試合。第2クォーター残り5分24秒、ザック・ラビーンのファウルを誘ったコビーはいつもと変わらぬ様子でフリースローラインに立つ。そして冷静に2本とも成功。この瞬間、ジョーダンの記録を追い越してリーグ歴代3位に浮上したのだ。
2本目を沈めた直後、敵地にもかかわらず、ウルブズファンはスタンディングオベーションでコビーの偉業を称えた。ゲームも一時中断となり、ウルブズオーナーのグレン・テイラーからコビーに記念ボールが贈られた。
チームトップの26得点をマークしたコビーは試合後、「普段とは違う雰囲気だった。俺はいつも敵地で悪役になることに慣れているから、気持ちを整理するのに少し時間が必要だった」とコメント。ジョーダンの記録を超えたことについては、「彼から多くを学ぼうとしている。これまでの自分の成功とキャリアの多くは、彼が占めているんだ。アドバイスをくれたりするし、こうした関係こそが俺にとってすべてと言える」と、ジョーダンの存在が自分を作り上げたと語った。
一方のジョーダンも、AP通信の取材に「このマイルストーンの達成を祝福する。コビーは明らかに偉大な選手で、バスケットボールに強い情熱を抱いている。私は彼のゲームが進化するのを何年も見届けてきたし、次に何を成し遂げるのかも楽しみなんだ」と褒め称えた。なお、ジョーダンはコビーに直接お祝いのテキストメッセージも送ったという。
レイカーズの先輩であり、コビーが幼少期に「大好きな選手」と公言していたマジック・ジョンソンは、「これまでマイケル・ジョーダンのような選手を見たことがなかったように、今後コビー・ブライアントのような選手を見ることもないだろう」と、記録だけでなく、プレーヤーとしてもコビーがジョーダンと肩を並べる存在となっていると認めた。
コビーは16年4月に引退するまでの約1年半で、3万3643点まで数字を伸ばしたが、記録はいつか破られるもの。キャリアを通じて多くのレコードを更新してきたコビーも、自身が積み重ねたものを塗り替えられることは把握していた。そして現役引退から4年後の20年1月25日のレイカーズ対シクサーズ戦、レブロン・ジェームズが記録を追い越し、歴代3位に浮上した。コビーは前のシーズンにレイカ―ズに加入したレブロンに対して「これからも前に進み続けろ」とツイッターで祝福。しかし弟分へエールを送った翌日、レジェンドは悲劇に巻き込まれ、帰らぬ人となってしまった。
文●大橋哲也
※ダンクシュート『コビー・ブライアント追悼号』原稿に加筆・修正
【PHOTO】「Mr.レイカーズ」&「Mr.NBA」史上最高のスーパースター、コビー・ブライアント特集
関連記事
- “マンバメンタリティ”が凝縮。弟分ウェイド越しに決めた起死回生の逆転弾【コビー・ブライアント名勝負:Part.8】〈DUNKSHOOT〉
- ジョーダンとの“最後の対決”で圧巻の55得点!後継者たる理由を示した一戦【コビー・ブライアント名勝負:Part.7】〈DUNKSHOOT〉
- 【1周忌特別コラム】アンチすら魅了するコビーという男。因縁の相手とも友人関係を築き、そして生まれた“傑作CM”〈DUNKSHOOT〉
- 【追悼コラム】Mamba Forever――不世出の名選手コビー・ブライアントよ、永遠に〈DUNKSHOOT〉
- 戦友コビーの死から1年。シャックが語った後悔の念「もっとコミュニケーションを取るべきだった」〈DUNKSHOOT〉