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NBA

「マンバ・アウト」稀代の勝負師が現役最終戦で見せた伝説のパフォーマンス【コビー・ブライアント名勝負:Part.10】〈DUNKSHOOT〉

杉浦大介

2021.01.28

20年にわたる華々しいNBAキャリア。その集大成でコビーは一世一代のパフォーマンスを演じた。(C)Getty Images

20年にわたる華々しいNBAキャリア。その集大成でコビーは一世一代のパフォーマンスを演じた。(C)Getty Images

 2020年1月26日、世界中に衝撃を与えたロサンゼルス・レイカーズのレジェンド、コビー・ブライアントの事故死。あれから1年……。コビーの肉体は滅びたが、その勇姿はファンの心に永遠に刻み付けられている。ここでは彼の20年の激闘譜のなかから、後世に語り継ぐべき名勝負を紹介する。

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■2016年4月13日 vsユタ・ジャズ

 2016年4月13日に行なわれたコビー・ブライアントの“ラストゲーム”は、様々な意味で彼のキャリアを象徴する一戦だった。

 このシーズンはほぼ全体がコビーの引退ツアーの様相を呈し、そのクライマックスとなったのがジャズと対戦した最終戦。試合前にレイカーズOBのマジック・ジョンソンがスピーチすると、会場のビジョンにシャキール・オニール、パウ・ガソル、フィル・ジャクソンらかつての同僚から、ケビン・デュラント、ドゥエイン・ウェイド、ケビン・ガーネット、カーメロ・アンソニー、レブロン・ジェームズなど、しのぎを削ったライバルたちがメッセージを送るトリビュートビデオが流された。特にキャリア後半はリーグ全体からリスペクトされたスーパースターを送り出す舞台として、申し分のない雰囲気にアリーナ全体が包まれていた。
 
 ティップオフからチームメイトたちはコビーに華を持たせようと積極的にパスを回し、コビー自身も次々とシュートを放っていく。序盤こそなかなか決まらなかったが、第1クォーター残り5分12秒で初得点。その後は5本連続でショットを沈めるなど、予想通りのワンマンショーを披露していた。

 第3クォーターまでにコビーは37得点をあげたが、それでもレイカーズはジャズに9点のリードを奪われていた。もともと内容が期待されたゲームではなく、このまま山場なく終わっても誰も文句は言わなかったはずだ。

 しかし、最終クォーター、コビーがもう一度、十八番の勝負強さを誇示する。残り1分50秒でジャズが8点をリードしていたが、この12分だけで23得点を叩き出した背番号24の働きでレイカーズが猛追。コビーが残り1分で3ポイント、残り32秒でジャンパーを決めて逆転すると、場内はお祭り騒ぎに。最後にフリースローを決めて自らの得点を60の大台に乗せ、レイカーズを逆転勝利に導いたのだ。ジャズの守備が甘かったことを差し引いても、ほとんど奇跡のようなラストランだった。
 
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