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「深夜3時からワークアウト」「ミスした仲間を20分凝視」コビー・ブライアントの狂気的エピソード〈DUNKSHOOT〉

大井成義

2021.01.29

一般人には理解できないほどの練習量で頂点を極めたコビー。そのこだわりは“狂気”にも似たものだった。(C)Getty Images

 コビー・ブライアントは決して天才などではなかった。彼を超一流のプレーヤーたらしめたもの、それは常人には到底不可能な、尋常ならざる練習量にほかならない。コビーの狂気にも似た練習へのこだわりを、周囲の証言とエピソードで浮き彫りにする。

■狂気とも言える熱心さで練習に取り組んだコビー

 現役時代のコビー・ブライアントは、人一倍練習熱心で、凄まじいまでのワークエシック(労働意欲)を持ち、何事にも徹底的にこだわる、そんな選手だった。だからこそ、歴代屈指の技術と強靭なメンタルを会得し、頂点を極めることができたのだろう。

 だが、彼が残した信じがたい逸話の数々は、「練習熱心」や「こだわり」などという生易しい表現の域をはるかに超越しており、その内容は完全に常軌を逸している。我々一般人には到底理解できないレベルだ。

 今回、これまで現地メディアに掲載された数多くの逸話の中から、興味深いものをいくつか拾い集めてみることにした。コビーの異常なまでの練習への取り組みとこだわり、そして突き抜け具合は、ただただ圧巻の一言である。
 
●ローワー・メリオン高校時代のコーチ、グレッグ・ダウナーの証言
「彼はこれまで見たなかで、最もハードに練習する選手だった。週に6回か7回はウェイトルームでリフティングをしていた。私は生徒たちに計画表を渡すが、何人かは従い、何人かは従わない。コビーはそれ以上にやる。

 学校が始まるのは午前7時30分。ある日大雪が降って、学校は9時30分スタートの"レイトオープナー"になった。だがコビーには関係なかった。彼は6時に来て練習を始めてたよ」(L.A. Times, 2001)

●高校時代、コビーと一緒のチームで遊びの3on3をプレーし、ラストショットをミスして試合に負けたロブ・シュワルツの証言
「誰かが自分を凝視しているように感じることってあるだろ? そっちを向く必要はないけど、なんとなくわかるよね? 3on3で負けた後、俺はコビーの視線を20分間感じてた。まるで州大会の決勝でミスしたような気持ちになったよ」(Sports Illustrated, 2008)
 
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「誰もが起きたばかり。みんなあくびしてんのに、コビーはすでに…」