NBA

守備型の“ジョーダン時代”は過去の話。2000年以降のNBAがハイスコアゲーム化した3つのポイント

出野哲也

2019.10.25

スティーブ・ナッシュの在籍していたサンズは「7秒以内の攻撃」でリーグに革命を起こした。(C)Getty Images

 1980年代中盤から90年代終盤までのNBAは、マイケル・ジョーダンの支配下にあったと言っていいだろう。"ジョーダン時代"は身体接触に寛容で、ディフェンシブでタフなゲームが多いのが特徴だった。しかし現在は、100点超えは当たり前のハイスコアリングゲーム化が顕著になっている。

 2000年に入り、NBAがそれまでと比べて変わった点は大きく分けて3つある。3ポイントシュートの乱発、スモールラインナップ/ポジションレスの進行、そして国際化の進展だ。

 こうした変化を生み出した大元は、0102シーズンから導入された一連のルール変更である。よりアップテンポで攻撃的な試合展開にする目的で、ゾーンディフェンスの解禁とディフェンス3秒ルールが導入され、攻撃側がボールをフロントコートへ運ぶ時間もそれまでの10秒から8秒まで縮められた。そして0405シーズンにはハンドチェック・ルールが廃止されて、ディフェンダーが手や腕で攻撃側に接触するとファウルを取られるようになった。
 
 これらの変更によって恩恵を被ったのは、小柄で敏捷なガードたち。ドライブやペネトレーションが容易になり、またビッグマンがゴール下に居座れなくなったことで、彼らは自由にコートを駆け回ってシュートを放ち、パスを繰り出せるようになった。以前よりもサイズが重要でなくなり、フィジカルに強くなくても活躍できる余地が広がったのだ。その代表が0506年に2年連続MVPを受賞したスティーブ・ナッシュで、彼の在籍していたサンズは「7秒以内の攻撃」でリーグに革命を起こした。

 一方で、かつての常識であったポストのビッグマンから攻撃を開始する光景は激減。ルール変更前のNBAを支配していたのは、スーパーセンターのシャキール・オニールを軸としたレイカーズだったが、その後は強力センターの存在が優勝チームの必要条件ではなくなっていく。