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2年目でシャックと肩を並べたザイオン。ペリカンズの若き怪物が作り出した“新たな選手像”<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2021.04.10

今季のザイオンは47試合の出場で平均26.5点、7.0リバウンド、3.5アシスト、FG成功率61.7%という好成績を残している。(C)Getty Images

 ニューオリンズ・ペリカンズのザイオン・ウィリアムソンは4月7日(日本時間8日、日付は以下同)に行なわれたブルックリン・ネッツ戦で、フィールドゴール(FG)12本中4本の成功の16得点に終わり、チームも111-139で完敗を喫した。

 キャリア2年目のザイオンは、ネッツ戦の前まで25試合連続でFG成功率50%、20得点以上という超人的なパフォーマンスを続けてきたが、この試合でついにストップ。それでも、ショットクロックが導入された1954-55シーズン以降ではシャキール・オニール(シャック)に次いで歴代最長記録であり、わずか20歳でレジェンドセンターの記録に並んだことは脅威というほかないだろう。

 そして迎えた9日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦。ペリカンズのスタン・ヴァン・ガンディ・ヘッドコーチ(HC)は試合前、「私の中で、ベン・シモンズはリーグベストのディフェンダーで、ジョエル・エンビードはオールディフェンシブチーム入りする男であり、ダニー・グリーンはいつも有能なディフェンダー。そしてドワイト・ハワードは最優秀守備選手賞に3年連続で選ばれた実績がある。今日の相手は本当にタフだ」と語っていたものの、ペリカンズは101-94で大金星をあげた。

「彼には恵まれたフィジカルの強さがある。ヤツは本物だ。あの男にはサイズとスピードに加えてプレーメークできる能力が備わっているんだ」

 シクサーズのフォワード、トバイアス・ハリスが絶賛したのは、もちろんザイオンのこと。201㎝・128㎏という頑強な身体を持つ男は、この日、フィールドゴール53.6%(15/28)を決め、ゲームハイとなる37得点でイーストの強豪をねじ伏せた。
 
 ザイオンは「チームメイトが俺に自信を与えてくれる。それに『俺たちはお前のことを信頼している。お前のどんな動きでも信頼しているぞ』と言ってくれる」とチームメイトに感謝。この日はキャリアハイの15リバウンド、キャリアハイに並ぶ8アシストと八面六臂の働きを見せた。

 果敢なペイントアタックから高確率のショットを決めて得点を量産するだけでなく、プレーメークもこなす20歳の巨漢について、ダラス・マーベリックスのリック・カーライルHCは「ポイントガードのスキルセットが備わった、シャキール・オニールのようなすごい選手」と評していた。

 今季のザイオンは47試合の出場で平均26.5点、FG61.7%という驚異的な成功率を残している。一般的にFGの高い選手は、ペイントエリアを主戦場とするビッグマンがほとんどだが、201cmのザイオンは3ポイントライン付近からスルスルとゴール下に侵入し、持ち前の爆発的な跳躍力を駆使して軽々とショットを決め続けている。

 70年以上の歴史を誇るNBAにおいても、FG60%以上を残す選手として歴代最高の平均得点をマークしているザイオン。20歳の若き怪物は新たな選手像を作り出したと言っていいのかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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