ウィザーズではブラッドリー・ビールがゲームハイの27得点に4アシスト、2ブロック、要所で追加点をあげた八村塁が20得点、13リバウンド、ラッセル・ウエストブルックが19得点、21リバウンド、14アシストのトリプルダブル、ロビン・ロペスが16得点、ダニエル・ガーフォードが12得点、5ブロック、ハウル・ネトが11得点をマーク。
一方のシクサーズは、大黒柱ジョエル・エンビード(8得点、6リバウンド)が第1クォーター終盤に右ヒザを痛めて途中退場したことが大きく響く結果に。トバイアス・ハリス(21得点、13リバウンド、5アシスト)を筆頭に、6人が2桁得点と奮戦したものの、スウィープ決着はならなかった。
とはいえ、試合はウィザーズの一方的な展開となったわけではない。シクサーズは12点ビハインドで迎えた第4クォーターに、タイリース・マキシーらベンチプレーヤーの活躍で徐々に点差を縮め、残り約4分から3度の同点、残り2分47秒には逆転にも成功している。
だが、「相手がやろうとしていたことは明白だった。それこそ、彼らがすべきことだとね。私はそれを受け入れたんだ」とドック・リバース・ヘッドコーチ(HC)が振り返ったように、ディフェンスに難を抱えるウィザーズは終盤にベン・シモンズにわざとファウルを仕掛けてフリースローラインへ立たせる“ハック・ア・シモンズ”を断行。
もともとシモンズはフリースローを苦手にしており、今季レギュラーシーズンでは61.3%(リーグ平均は77.3%)。さらにウィザーズとのシリーズでは第4戦前まで9本すべてをミス。この試合では残り約3分から4度フリースローラインに立ち、いずれも2投中1本の成功とどまり、終盤に突き放される要因となってしまった。
リバースHCは記者から、なぜ終盤にシモンズをコートに残し続けたかを聞かれると「君たちはベン・シモンズをフロアから追い出したいのか? それはない。彼はすごく良かったから。その提案は受け付けない」と一蹴。2日に行なわれる第5戦では、エンビードの出場が微妙なだけに、シクサーズ勝利にはシモンズの活躍が不可欠となる。
悔しい結果に終わり、敗戦の一因となってしまったシモンズ。本人は相手からファウルの標的にされたことに対して「いや、俺は別に混乱はしていなかった。これはあくまでバスケットボールだから」とクールに対処したものの、プライドを傷つけられたことは事実だろう。
第4戦で11本中5本(成功率45.5%)を決めたとはいえ、今プレーオフでのフリースローはわずか25%(5/20)。今後も相手から狙われる可能性もあるシモンズだが、「ステップアップして決めていくだけ。それがすべてさ」と汚名返上を誓っていた。
シクサーズの3勝1敗で迎えるシリーズ第5戦。シクサーズはホームで決着をつけることができるのか、それともウィザーズが再び勝利を奪うのか。注目の一戦となりそうだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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