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“名将”ポポビッチが“天才”ドンチッチを称賛「彼は本当に面白いプレーヤー」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.10.31

スパーズ相手に25得点をあげ、チームを3連勝に導いたドンチッチ。この活躍に敵将ポポビッチも脱帽だった。(C)Getty Images

 現地時間10月28日(日本時間29日)に行なわれたサンアントニオ・スパーズ対ダラス・マーベリックス戦は、104-99でマーベリックスが勝利。これでスパーズは4連敗、マーベリックスは3連勝と明暗分かれる結果となったが、この試合でゲームハイの25得点をあげてマーベリックスを勝利に導いたルカ・ドンチッチについて、敵将グレッグ・ポポビッチが賛辞を贈っている。

「彼はプレーを心底楽しんでいる。彼の感情的な部分が私は非常に好きだ。時にイライラして怒りを見せることもあるが、また別の場面では大笑いしながら、びっくりするようなパスや3ポイントを楽しんでいる。選手としての能力がとてつもなく素晴らしいこと加えて、彼は本当に面白いプレーヤーだよ」

 ポポビッチは、ユーゴスラビア分裂後の小国から彼のような偉大な才能が輩出された現実に、敬服する思いを抱いているという。ドンチッチの祖国スロベニアは、四国と同じくらいの大きさで、人口は東京都7分の1程度の209万人だ。
 
「ニューヨークやロサンゼルス、シカゴのように、街のそこら中でいつでもプレーできるような環境ではない。毎日プレーはしていたにしても、同じだけのコンペティションがあるなかでは育ってきていないはずだ。奢ったアメリカ人は認めたがらないが、そうした環境のなかから(優秀な選手たちが)育ってきたということ、そしてコーチやゲームも非常に高いレベルにあるという事実は、実に称賛に値する。コーチが指導者になる環境さえも違うし、選手たちは規律正しく、真面目で、練習熱心だ」

 今夏の東京オリンピックでチームUSAを率いて金メダルを獲得したポポビッチは、国際試合の経験が豊富なこともあり、NBAのコーチ陣のなかでも際立ってアメリカ国外のバスケットボール事情に関心を抱いている指導者だ。欧州で開催される"バスケットボール・ウィズアウト・ボーダー"では原石である若手の指導にあたったり、スパーズ自体、伝統的にアメリカ人以外の選手を積極的に迎え入れている球団でもある。
 
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旧ユーゴにルーツを持つポポビッチ