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ロシアのウクライナ侵攻がバスケ界にも飛び火。揺れるユーロリーグは「軍事侵略国のクラブと一緒にプレーしたくない」との声も<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.02.28

ロシアのウクライナ侵攻は、ユーロリーグにも大きな影響を与えている。(C)Getty Images

 2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、現在両国の間で戦闘が続いている。これを受けてユーロリーグでは、同日の夜に予定されていたバイエルン対CSKAモスクワ戦、バスコニア対UNICSカザン戦をティップオフ直前に中止。25日のゼニト・サンクトペテルブルク対バルセロナ戦も延期となった。

 すでにバイエルンの本拠地アウディ・ドームに到着し、コートへと向かう10分前に中止を知らされたというCSKAのディミトリス・イトゥーディスHC(ヘッドコーチ)は「もうすっかり準備はできていた。選手たちも驚いていたよ。バイエルンのコーチや選手たちとも話をして、彼らもプレーする準備はできていた」と困惑。

 続いて「スポーツとは本来、人々を団結させるものだ。それにCSKAは国際的なチームであり、多くの外国人選手やコーチが在籍している。私たちはCSKAのカラーを守ってプレーしたいのだ」と訴えた。

 この言葉の意図は、CSKAという略語が『軍隊のスポーツクラブ』を意味するように、元はアーミーのクラブだったCSKAが、世界的な非難の対象になりかねない状況を懸念してのものだろう。
 
 この節は、冒頭に挙げたロシア勢の3試合以外は通常通りに行なわれたが、オリンピアコス対アルマーニ・ミラノ戦では、主審を務めたウクライナ人レフェリーが『STOP WAR』と書いた紙を掲げる一面があった。

 試合に67-58で敗れた後、ミラノのエットーレ・メッシーナHCは「バスケットボールの試合に負けても、今ウクライナで起きていることに比べれば大したことはない」とコメント。そして「主審のボリス・リジーク氏にお見舞い申し上げる。彼はウクライナで戦争が始まり、ヨーロッパにとって恐ろしい1日となった今日、ここに足を運んでくれたのだ」と彼の勇気を称えた。

 ユーロリーグは25日に声明を発表し、3月22日に行なわれるゼニト・サンクトペテルブルク対UNICSカザン戦、4月1日のゼニト・サンクトペテルブルク対CSKAモスクワ戦を除き、ロシア国内で行なわれる予定の試合を、ロシア連邦領域外の中継地で開催する方針であると発表。株主執行委員会の承認を得て正式決定となるが、すでにコロナ禍でスケジュールに影響が出ていることもあり、中断せずにシーズン残りの試合を消化するためには、決定は免れないだろう。
 
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