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「必要なことは何でもする」ホークス浮上の鍵を握る“ゲームチェンジャー”ボグダン・ボグダノビッチ<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.04.20

ヒートとの初戦では6得点に終わったボグダノビッチだが、第2戦ではチームハイの29得点の活躍を披露した。(C)Getty Images

 プレーイン最終戦で、クリーブランド・キャバリアーズを107-101で破り、イースト・カンファレンス最後のプレーオフ出場権を勝ち取ったアトランタ・ホークス。

 1回戦ではカンファレンス首位のマイアミ・ヒートと対戦している。

 ホークスの注目選手は、勝負強さのあるエースのトレイ・ヤングだが、彼以外に重要な鍵を握る1人が、"スーパーサブ"の、ボグダン・ボグダノビッチだ。

 昨シーズン、サクラメント・キングスから加入したセルビア人シューティングガードは今季5年目。これまで出場した316試合のうち、半分の152試合はベンチスタートだが、いずれの場合もプレータイムは30分前後と、コート上での存在感は小さくない。

 リーグ全体でも、ベンチスタートの選手による得点数ランキングでTOP5に入る、彼は文字通りの「ゲームチェンジャー」だ。

 今季は、開幕後はスターターに定着していたが、12月から1月にかけて膝や足首の故障で欠場が続くと、その後はケビン・ハーターが先発を任されている。

 しかしボグダノビッチは、「先発かベンチスタートかは気にしていない。コーチがそれで試合に勝てると思うなら、必要なことは何でもする」と前向きだ。

 また、スターターでないことで、よりボールを持った状態でのプレーが増えることにも充実感を覚えているという。
 
 ホークスのネイト・マクミランHC(ヘッドコーチ)も、「セカンドファイブでプレーすることで、(ボグダノビッチは)より多くのボールを手にすることができる。ベンチから出すことで、彼の存在感をより示すことができるんだ」と、戦略上の旨味があることを指摘。

 チームメイトのダニーロ・ガリナーリも、「彼は素晴らしいシューターだ。だから彼がコートに立つと、必然的に彼を中心にプレーを展開することになる。彼がボールを持てば持つほど、良いことが起こる可能性が高くなるとは分かっているからね」と指揮官の発言を裏付けるコメントをしている。

 実際、数字にもそれは表われていて、今季これまでスターターで出場した27試合の平均得点が12.5なのに対し、ベンチスタートの36試合では17と大きく上回っている。

 つい先日も、象徴的な一戦があった。ホークスが122-125で勝利した4月2日のブルックリン・ネッツ戦。

 ガリナーリの3ポイントが決まり、35-34とこの試合で初めてホークスがリードを奪った第2クォーター。ボグダノビッチはデロン・ライトの3ポイントをアシストしたのを皮切りに、フリースローから2得点、再びライトのスリーを導き出し、さらには自らジャンプショットと、約3分間で10得点に絡んだ。ここでペースをつかんだホークスは勝利を収めた。

 数字だけ見れば8得点、1リバウンド、2アシスト、2スティールとこの試合でのボグダノビッチのスタッツはやや寂しいが、出場時の得失点差はゲームハイの+15と、その貢献度を示している。
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