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「ルカは13歳の時から素晴らしい選手だった」レアル・マドリー時代の恩師が語るドンチッチの凄さ「どんな状況にも適応できる」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.05.21

ドンチッチはレアルでのラストシーズン、弱冠19歳にしてチームを優勝に導き、ユーロリーグとファイナルのMVP、ライジングスター賞を勝ち取った。(C)Getty Images

 NBAはカンファレンス・ファイナルの真っ最中だが、ヨーロッパでも今週末、ユーロリーグのファイナル・フォーが行われている。

 5月19日のセミファイナルは、バルセロナ対レアル・マドリーのスペイン対決、そしてアナドルー・エフェス(トルコ)対オリンピアコス(ギリシャ)の両戦とも3点差の激戦に。

 ディフェンディング・チャンピオンのエフェス対オリンピアコス戦は、昨年のMVPヴァシリエ・ミチッチが3ポイントのブサービーターを沈めて勝利を奪うという、ドラマチックな結末だった。

 日本時間22日に行われるファイナルでは、エフェスとレアル・マドリーが、欧州トップの座をかけて激突する。

 レアルの決勝進出は、2018年以来。当時はレアルがフェネルバフチェを破り、球団にとって記念すべき10度目の王者に就いたが、今回ファイナルが開催されるのも、その時と同じセルビアのベオグラード。

 というわけで、前回のファイナル・フォーで19歳にしてレアルを優勝に導いたルカ・ドンチッチに再び注目が集まっている。
 
 2017-18シーズン、ドンチッチはユーロリーグのシーズンMVPとファイナルのMVP、そして22歳以下の選手に贈られるライジングスター賞の個人賞3冠という前人未到の偉業を達成。さらに前述の通り、クラブでも歴代初のユーロリーグで10度目の優勝と、これ以上ない成果を手にしてNBAへと渡った。

 そのドンチッチを、13歳から見守り続けてきたレアルのパブロ・ラソHC(ヘッドコーチ)が、ユーロリーグ開幕会見の席で、ドンチッチがなぜ特別なのか、彼を成功に導いた素質とは何なのかについて語った。

「ルカは13歳でレアル・マドリーに来た時から、素晴らしい選手だった。しかしそれだけでなく、彼はその日からずっと、素晴らしい人物でもある。それが彼をここまで偉大な選手に成長させたのだ」

 ラソHCは、弱冠16歳だったドンチッチをシニアチームのロースターに抜擢し、プロデビューさせている。

「NBAについて、そして彼がそこでどうプレーするかと人々が話題にする時も、私には何の疑いもなかった。彼が良いプレーをするに違いないという確信が私にはあったからだ。彼が人として、そして選手として、持っている最高のものは、どんな状況にも適応できること。人として持っているべきその素質を、ルカは持っているのだ」。

 この17-18シーズン、ドンチッチが爆発的な活躍を見せた理由のひとつに、ラソHCの英断があった。レアルの絶対的な主力であり、スペイン代表の中核でもあったセルヒオ・ユールがヒザの十字靭帯損傷の大怪我を負い、長期欠場が決まった際、指揮官は、18歳のドンチッチにその代役を任せた。
 
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「ルカは独特の視点でバスケットを見ることができる」とラソHC