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初日を終えたユーロバスケットのラウンド16。4戦中2戦がオーバータイム突入と、全試合が手に汗握る大激戦に<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.09.11

格下のベルギーに土俵際まで追い詰められたスロベニアだが、ドンチッチの活躍もあり順当に準々決勝へ駒を進めた。(C)Getty Images

 チェコ、ジョージア、ドイツ、イタリアの4か国で9月1日から開催中のユーロバスケット2022は、10日からはいよいよ"負ければ即帰国"のノックアウトステージがスタート。初戦のトルコ(A組2位)対フランス(B組3位)戦からさっそく、オーバータイムにもつれ込む激戦が繰り広げられた。

 先手を取ったのは、徹底的なマンツーマンディフェンスで相手を封じたフランス。序盤からリードを奪い、一時は16点まで差を広げたが、トルコは第3クォーターの終盤、ブルガン・トゥンチェル(アナドルー・エフェス)が3連続3ポイントを沈めるなど好プレーを連発。グループリーグのモンテネグロ戦で右手の指の腱を痛め、手術のためチームから離脱したシェーン・ラーキンに代わってスターターを務めた伏兵の活躍で逆転し、トルコが8点リードで最終クォーターに突入する。

 ドイツ在住のトルコ人が大勢つめかけ、場内は「トゥルキヤ」コールが充満。そして残り12秒、トルコが2点リードの場面で、フランスのティモテイ・ルワウ・キャバロ(アトランタ・ホークス)がアンスポーツマンライクファウルをコールされた瞬間、トルコの勝利は決定したかに思われた。
 
 ところがここで、この日それまで4本のフリースローをすべて成功させていたシェディ・オスマン(クリーブランド・キャバリアーズ)が2本ともミス。さらに、スローインからのトルコのポゼッションでエバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)がスティール。フォーニエが放ったジャンプショットはリムに弾かれたが、ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)がすかさずプットバックを叩き込み、フランスがオーバータイムに持ち込むという驚きの展開となる。

 延長突入後も点の取りあいは続いたが、前述したラスト12秒のドラマチックな展開で明らかに流れは変わり、最後はフランスが1点差で逃げ切った。

 試合後「これまでで1番クレイジーなシナリオだったか?」という問いに頷いたフランス代表のヴァンサン・コレ HC(ヘッドコーチ) 。20得点に加え、フランス代表の歴代最多となる17リバウンドでこの試合のMVP に選ばれたゴベアは「自分たちは、他の多くのチームなら諦めていたような状況でも絶対に諦めなかった。全員が参加し、全員が貢献した」とコメントした。41-15というベンチの得点差からも、チーム全体で勝ち取った勝利であると言えよう。
 
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アップセットを予感させたスロベニア対ベルギー