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「身体はヤオ・ミン、腕はカリー」フランスの超逸材ウェンバンヤマが、NBA入り前に母国のマイナークラブを選んだ理由<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.10.09

来年のNBAドラフトで1位指名候補に挙げられているウェンバンヤマ。今季は母国フランスで腕を磨く。(C)Getty Images

 2023年のNBAドラフト1位指名候補、フランスのヴィクター・ウェンバンヤマがアメリカのGリーグチームと対戦して大きな注目を集めている。

 敵将であるイグナイトのジェイソン・ハートHCも「彼はいわゆる、"唯一無二"と言われるタイプの選手だ」と称賛を惜しまない。

「たとえば、シャック(シャキール・オニール)のような選手は2人としていない、と俗に言うようなね。彼がどのような選手かをレポートするのは難しい。ピック&ロールからダンクも決められるし、オープンで3ポイントシュートも決められる。彼のような選手は見たことがない」

 一般的には、"身長220cmのシューティングガード"というのが、彼を表現する常套句だ。より具体的に「身体はヤオ・ミン、腕はステフィン・カリー」と称する声もある。
 
 フランスのメトロポリタン92で彼を指導するヴァンサン・コレHCはこのエキシビションマッチの期間中、アメリカをはじめとする世界中のメディアから「ドラフト前のトニー・パーカーと比べてどうか?」という質問を受け続けたそうだが、彼の答えは「ある意味似ている」というものだった。

「彼(パーカー)がフランスでプレーした最後の年、私はライバルチームを率いていたが、彼のことは止めようがなかった。一方でヴィクトールのようなことができる220cmの選手はほとんどいない。比較するなら、カリーム・アブドゥル・ジャバーやラルフ・サンプソンといった名前を出すことになるのか。彼のような資質を持った選手はほかにもいる。しかしそれが220cmの選手となると、本当に特別だ」

 コレHCはフランス代表のヘッドコーチでもあり、国内で最も尊敬されている指導者の1人だ。 NBAに巣立つ前の最後のシーズンに、その彼の下で指導を受けることを選択したところにも、ウェンバンヤマ自身、そして彼を導く両親ら「チーム・ヴィクトール」の周到さが感じられる。
 
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