NBA

「相手は僕らを倒すためにプレーしていた」8位ヒートに優勝の夢を絶たれたヤニスが敗因を分析「僕らは先走りしていた」<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2023.04.28

ヤニスは初戦で腰を負傷。第4戦で復帰したが、自身が出場した試合でバックスは0勝3敗とエースとしてチームを勝利に導くことはできなかった。(C)Getty Images

 今季のミルウォーキー・バックスは開幕9連勝と最高のスタートを切ると、1月下旬からは破竹の16連勝を飾り、最終的に58勝24敗(勝率70.7%)の好成績をマーク。2019-20シーズン以来となるイースタン・カンファレンスの第1シードを獲得し、自信を持ってプレーオフに挑んだ。

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 しかし現地時間4月26日(日本時間27日)にホームのファイサーブ・フォーラムで迎えたマイアミ・ヒートとのファーストラウンド第5戦。彼らは第3クォーター終了時の16点リードを守り切れず、オーバータイムの末に126-128で敗退。1勝4敗でまさかの初戦敗退となった。

 チームは大黒柱のヤニス・アデトクンボがシリーズ初戦の前半で腰を強打して後半を欠場。第2、3戦の欠場も余儀なくされ、復帰した第4戦で26得点、10リバウンド、13アシストのトリプルダブル、第5戦でも38得点、20リバウンドを残すもフリースロー成功率43.5%(10/23)と不振に終わり、勝利に導くことはできなかった。

 プレーオフ開幕時点で、バックスは優勝候補の筆頭だった。しかし、1回戦敗退で早すぎるオフを迎えたアデトクンボは「相手は僕らを倒すためにプレーしていた。でも僕らはチャンピオンシップを勝ち取るためにプレーしていたんだ。正直、僕らは少し先走りしていた」と語った。

 ヒートはプレーイン・ゲームの末にプレーオフへ駒を進めたが、バックスはNBAファイナルまでのホームコート・アドバンテージも手にしていた。彼らは先を急ぐあまり、目の前の相手にフォーカスしきれなかった一面もあったのかもしれない。

 2021年優勝メンバーのパット・カナトンは「(チームとしてのフォーカスが)十分ではなかった。それは僕も分かっている。なぜかは分からない。実際に勝たなければ、チャンピオンシップを勝ち取ることなんてできないんだ」と話していた。
 
 今季のバックスはアデトクンボ、クリス・ミドルトン、ホリデーというビッグ3にブルック・ロペス、ボビー・ポーティス、カナトン、グレイソン・アレンの主力メンバーに、開幕前にジョー・イングルズ、さらにシーズン途中にはジェイ・クラウダー、ゴラン・ドラギッチという経験豊富なベテラン陣も補強し、近年では間違いなく最高の戦力を有していた。

 各ポジションに実力者を揃え、2年ぶりの王座奪還をテーマに戦ってきたが、1戦必勝のプレーオフにおいて、その考えが裏目に出てしまったのかもしれない。

 今年2月にフェニックス・サンズから加入したクラウダーはこう話す。

「チームはこの結果以上のことをやり遂げるべきだったと感じているが、自分たちは届かなかった。確かに、僕らはチャンピオンシップのマインドを持っていた。けど自分たちがいつも話し合っていたのはそれだけだった。だからこそ、僕らは(試合の)重要な場面で足りなかった。そして成功できなかったんだ」

 今夏にチームはミドルトンの契約がプレーヤーオプション、ロペス、イングルズ、クラウダーが完全フリーエージェントとなる。"失敗"に終わった今季の結果を受け、フロントはオフシーズンにどんな動きを見せるのか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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