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NBA

”クセが強い”メンバーをまとめ、レイカーズを浮上に導くヴォーゲルHCの知られざるキャリア

出野哲也

2019.12.13

就任当初は懐疑的な声も多かったヴォーゲルだが、短期間でチームを見事にまとめあげ、チームをカンファレンス1位の好成績に導いている。(C)Getty Images

就任当初は懐疑的な声も多かったヴォーゲルだが、短期間でチームを見事にまとめあげ、チームをカンファレンス1位の好成績に導いている。(C)Getty Images

 ロサンゼルス・レイカーズが開幕前の予想を上回る勢いで、快進撃を続けている。その要因としてはレブロン・ジェームスの復調や、新加入のアンソニー・デイビスが期待通りに働いていることが挙げられるが、ヘッドコーチ(HC)のフランク・ヴォーゲルの采配も見落とせない点だ。

 新指揮官としてヴォーゲルが任命された時点では、不安の声も少なからず聞かれた。NBAでのHC歴は8年あったが、ロサンゼルスのような大都市、レイカーズのような常に結果を求められる人気球団を率いた経験はなかったこと。もうひとつは、これまで数多くのHCがレブロンの信頼を得られず、短期間でその座を追われていたからだ。レブロン以外にもデイビスやラジョン・ロンド、故障欠場中ではあるがデマーカス・カズンズといった、一癖も二癖もある連中をまとめていけるか疑問視されていたのである。

 もっともデイビス、ロンド、カズンズとの関係について言えば、心配する必要はなかったのかもしれない。この3人とヴォーゲルはケンタッキー大学の同窓だからである。と言っても、大学時代は「NBAなんて夢にも思わなかった」と言う程度の力量で、選手ではなくリック・ピティーノHCのマネージャーを務めていた。指導者としての修業を積むには最高の環境だったが、ヴォーゲル自身はピティーノ以上にアシスタントコーチ(AC)だったジム・オブライエンから多くを学んだと振り返っている。
 
 卒業後はセルティックスのHCに転身したピティーノについていき、ビデオコーディネーターから始めて2001年にACに昇格。その後フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、インディアナ・ペイサーズのACを経て、2010-11シーズン途中から恩師のオブライエンに代わってペイサーズのHCに就任した。この間、2005-06シーズンの1年だけアドバンス・スカウトとしてレイカーズでも働いている。

 守備重視の采配に加え、他球団に先駆けてストレッチ5を起用するなど独創性も併せ持ち、2011-12シーズンはカンファレンス準決勝、続く13年と14年はカンファレンス決勝まで進出した。だが3年ともマイアミ・ヒートの前に敗れている。その当時ヒートを牽引していたのは、言うまでもなくレブロン。そしてペイサーズのエースだったポール・ジョージは、今はレイカーズの最大のライバルとなりそうなロサンゼルス・クリッパーズの中心選手で、敵と味方が逆転した格好だ。
 

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