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NBA

確率わずか1.7%――気まぐれなロッタリーがブルズにもたらした「奇跡」と「別れ」【NBAドラフト史:2008年】

大井成義

2019.12.11

1位指名のローズは新人王に続き、2011年には史上最年少でMVPを受賞。ブルズを真の強豪チームに押し上げたのだが…。(C)Getty Images

1位指名のローズは新人王に続き、2011年には史上最年少でMVPを受賞。ブルズを真の強豪チームに押し上げたのだが…。(C)Getty Images

 NBAのドラフトロッタリーでは、成績下位チームほど1位指名権を引き当てやすいように、高い当選確率を与えられる。だが、1990年以降で確率7%未満の当選が6度も出現するなど、確率論からすれば“異常事態”が頻発している。2008年もそうだった。1位指名権を引き当てたのは1.7%のブルズ。今回はロッタリーを巡る裏話を中心に、2008年のドラフトを振り返る。

■確率論的には考えられぬ結果が頻発するNBAのロッタリー

 当選確率1.7%。その数字を聞いて、多くの人は「当たるはずがない」と思うことだろう。だが、事実は小説よりも奇なり。NBAドラフトロッタリーの世界では、繰り返し何度も嘘みたいな大当たりが出ているのだ。1.7%は、2008年のロッタリーでブルズに1位指名権が転がり込んできた時の当選確率である。

 NBAドラフトにロッタリーシステムが導入されたのは1985年。NBAの前身BAAの創設が1946年であることを考えると、比較的新しい制度ということになる。過去には、地元出身選手を優先的に獲得できる“テリトリーピック”や、両ディビジョン(当時)の最下位チームがコイントスで1位指名権を争う“コインフリップ”という制度が採用されていた時代もあった。
 
 ピンポン球によるロッタリーマシンと確率調整システムが導入され、レギュラーシーズンの成績に則って、下位のチームにより高い当選確率が与えられるようになったのは1990年から。抽選で1位から3位までの3チームが選ばれ、4位以下はレギュラーシーズンの成績順に割り振られていく。

 驚くべきは、その新たなシステムが導入されてから、衝撃的な抽選結果が何度も出ていることだ。冒頭で述べた2008年ブルズの1.7%は、歴代2番目のアップセット。史上最大の番狂わせは、1993年のマジックで1.52%(クリス・ウェバーを獲得)。

 そのほかにも、確率の低い年から2014年キャブズの1.7%(アンドリュー・ウィギンズ)、2011年キャブズの2.8%(カイリー・アービング)、2000年ネッツの4.4%(ケニョン・マーティン)、2007年ブレイザーズの5.3%(グレッグ・オーデン)、2019年ペリカンズの6.0%(ザイオン・ウィリアムソン)、2005年バックスの6.3%(アンドリュー・ボーガット)など、わずか三十数回のロッタリー史において、凄まじいアップセットが何度も起こっている。NBAのドラフトロッタリーは、確率論的に異常であると大真面目に考え、検証している者が現地アメリカにいるほどだ。
 

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