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アメリカが制した“エンビード争奪戦”の顛末。フランス協会は自国の代表入りに力を尽くすも、「結果的に着手すべきではなかった」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.10.12

選択が注目された結果、エンビードはアメリカ代表入りを決断。来年のパリ五輪でチームUSAの一員として活躍が期待される。(C)Getty Images

 NBAの昨季MVP、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)が先週、アメリカ代表として来年のパリ五輪に出場したいとの意思を表明した。

 フランス・バスケットボール連盟(FFBB)が設定した10月10日の回答期限を前にエンビードが最終決定を下した形だが、この10日は、FFBBが新シーズンに向けての体制を発表する記者会見が予定されていた日。パリ五輪へ向けての代表チーム構築がメインテーマとなるこの会見で、エンビードの去就をはっきりさせる必要があったため、この日までの回答をフランス側は求めていたのだった。

 チームUSAのマネージングディレクターであるグラント・ヒル(元デトロイト・ピストンズほか)に、アメリカ代表を選択したことを伝えたエンビードは、SNS上で「アメリカで生まれた息子や、家族のための選択」だったと決断の理由を明かしているが、フランス側は公式なコメントは出さなかった。

 FFBBが初めてこの話題について触れたのは、10日に行なわれた体制発表の時だった。ジャン・ピエール・シウタ会長は、事の始まりはエンビードの側からの要請であり、FFBBから動いたわけではなかったことを強調した。
 
「ジョエルとは2022年3月に一度会った。とても楽しいディナーだったが、我々が彼を追いかけていたわけでは決してなかった。ジョエルは代表チームでプレーしたいと考えていた。彼からの要請で、我々は彼のためにフランス国籍を取得するための手続きをしたが、それは私たちの方から求めたことではない」

 そしてこう結んでいる。

「結果的に、着手すべきではなかった…。こちらの要請ではなかった案件に、多くの時間とエネルギーを費やしてしまったことが悔やまれる」

 同席していたチームマネージャーのボリス・ディーオウ(元フェニックス・サンズほか)も同調した。

「我々はジョエルに、この会見までに答えを出すよう求めた。ジョエルは気が変わったと我々に伝えてきた。それは彼の権利だ。ジョエルがフランスでプレーする可能性について、我々の方から言い出したことはない。数年前に名乗りを上げたのは彼の方だった。彼は我々のチームでプレーしたいと言い続けていた。我々には彼を受け入れる準備はできていたし、その事実を隠すこともしなかった」
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