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低迷キングスに復活の兆し?ウォルトンHCの劇的な改革で05-06シーズン以来のプレーオフ進出なるか

出野哲也

2019.12.18

大胆にチームの方向性を変えたウォルトンHCのもと、チームは着実に成長している。フォックスが戦線復帰すれば、さらに上り調子になりそうだ。(C)Getty Images

 サクラメント・キングスが最後にプレーオフに進出したのは2005-06シーズン。マイク・ビビー、ブラッド・ミラーら当時の主力選手たちの名前を聞いても、若いファンにはピンとこないかもしれない。01-02シーズンにはリーグ最高の61勝を記録、ウエスタン・カンファレンス決勝でロサンゼルス・レイカーズと死闘を演じたキングスも、06年以降は勝ち越しシーズンさえ一度もなく、この間指揮を執ったヘッドコーチ(HC)は9人に上る。

 そんな絵に描いたようなドアマットチームも、18-19シーズンはここ14年で最多の39勝、シーズン終盤までプレーオフの望みを残してカンファレンス9位と、だいぶ上り調子になってきたように思えた。2年目の21歳ディアロン・フォックスがアシストとスティールの総本数でトップ6に入り、3年目の26歳バディ・ヒールドも平均20.7点を叩き出す急成長。ドラフト2位で入団したマービン・バグリー三世も、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)をスルーしてまで指名するほどではなかったにせよ、彼自身はまずまずの成績だった。シーズン途中で加入したハリソン・バーンズとも再契約を結び、今季は久々にポストシーズンへ進めるのでは、との期待が高まっていた。
 
 ただ、そのムードに水を差す出来事もあった。3年間チームを率いて結果も出してきたデイビッド・イェーガーHCが解任されたのである。「我々は良いシーズンを送ったが、もっとできたはずだと判断した」というのがブラデ・ディバッツGMの言い分で、若手選手の出場時間をめぐり、HCとGMの間で意見の相違があったとも言われる。新たにHCとして迎えられたのは、前レイカーズHCのルーク・ウォルトンだった。

 果たして今季開幕から5連敗を喫すると、ファンの間でウォルトンとディバッツに対する不満が噴出。「俺がファンの立場だってブーイングするだろう。なぜって今の俺たちはろくなプレーをしちゃいないからな」とヒールドも言っていた。イェーガー政権下では、若手選手のスピードを生かしたテンポの速い攻撃が奏功していて、昨季は速攻での得点数がリーグ最多でファンの支持も集めていた。だがウォルトンの采配は正反対で、ゲームペースは最下位に転落。フォックスが11月8日に足首を捻挫して離脱してからは、ますますその傾向が強くなっている。