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NBA

ロッタリー史上最大の番狂わせ年――20年の時を超えて明かされた電撃トレードの舞台裏【NBAドラフト史:1993年】

大井成義

2019.12.15

1位指名のウェバーは新人王を受賞。キングス時代の2001年にはオールNBA1stチームに選出されるなどリーグのトップに君臨した。(C)Getty Images

1位指名のウェバーは新人王を受賞。キングス時代の2001年にはオールNBA1stチームに選出されるなどリーグのトップに君臨した。(C)Getty Images

 NBA史上で唯一、ドラフト当日に1位指名選手がトレードされるという事件が起きたのが1993年だ。ロッタリーで奇跡を起こして、前年に続く1位指名をゲットしたマジックと、強力ビッグマンを切望するウォリアーズ。両者の思惑が合致して世紀のトレードは実現した。今回は、その移籍劇を巡るドラマにスポットライトを当てる。

■大学バスケを一変させたウェバーが1位の有力候補

 1990年代初頭に全米で一大旋風を巻き起こし、史上最高のリクルートクラスとの呼び声高いミシガン大の“ファブ・ファイブ”。その呼称は、今なお特別な響きを持って語られている。2011年に『ESPN』が放映した2時間番組『The Fab Five』は、同局のドキュメンタリー部門で放送当時に過去最高の視聴率を記録したという。

 クリス・ウェバーとジェイレン・ローズを中心に、ジュワン・ハワードらを加えた先発5人全員が1年生。ダボダボのバギーショーツに黒のソックスとシューズを履き、ストリートバスケのプレースタイルやトラッシュトークまでをもコートに持ち込んだ。ヒップホップのノリを前面に打ち出した破天荒な5人組が、カレッジバスケットボールの世界を一変させたのだった。
 
 デトロイト出身のウェバーは、高校時代からその名を全米に轟かせていた。最終学年に平均29.4点、13リバウンドを記録し、数々の全米最優秀選手賞を受賞。地元ミシガン大に進学すると、2年連続でチームをNCAAトーナメント決勝に導く。1、2年の両年でNCAAオールトーナメントチームに選出された、史上初めての選手となった。

 2年時の決勝、対ノースカロライナ大の最終局面で、ウェバーはすでに使い果たしていたタイムアウトを要求するという世紀の大チョンボをやらかし、テクニカルファウルを取られ優勝を逃している。ファブ・ファイブとウェバーはひときわ人気があっただけに、この事件は全米で話題の的となり、数日後に届いたというビル・クリントン大統領からの励ましの手紙を今でもネットで見ることができる。

 また、このタイムアウトネタでウェバーは延々といじられ続け、2008年に『TNT』の『Inside the NBA』という番組に初出演した際に受けた抜き打ちのテストで、「カレッジバスケットボールでは1試合に何回までタイムアウトが取れるでしょう?」と質問されたウェバーは、「俺はいまだにその答えがわからないんだ!」とリアルに答えている。
 

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