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「不完全燃焼のままだった」サンダー躍進の立役者、ポールが語る本音と快進撃の舞台裏

北舘洋一郎

2020.01.22

率先してリーダーシップを発揮し始めたポールに導かれ、サンダーはここまで好成績をマーク。(C)Getty Images

 ラッセル・ウエストブルック(ヒューストン・ロケッツ)とポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)、オフに2本柱を失った今季のオクラホマシティ・サンダーは、大きく成績を後退させるだろうと大半が予想していた。しかしそれをいい意味で裏切り、シーズン前半戦はウエスタン・カンファレンス7位の25勝19敗(勝率56.8%)と、十分すぎる結果を残してみせた。

「開幕する前まで、"ウエストブルックとのトレードで加入したクリス・ポールはすぐに移籍するだろう"と大きく噂になり、選手たちも"どうやってシーズンを乗り越えていくのか"と半信半疑な気持ちでいたことは十分に理解していた」

 そう話すのはビリー・ドノバン・ヘッドコーチ(HC)。サンダーを率いる指揮官は、初めてチーム全体でミーティングをした際に「この集まったメンバーで最善を尽くす。そうして得られた結果だけが、私たちを満足させてくれるだろう」と、選手たちに熱くメッセージを送ったそうだ。
 
 またドノバンHCは、チーム在籍年数の長いスティーブン・アダムズとアンドレ・ロバーソンには、新加入の選手たちと積極的にコミュニケーションを取って欲しいとの要望も出したとのこと。そして最後にポールを呼んでこう話した。

「実績、実力ともにクリス(ポール)の力を発揮してもらわなければ、サンダーはこのまま沈没してしまうかもしれない。でも、しっかりと個々が力を発揮し戦術的に機能していけば十分に戦える。指揮官として私はその役割を君に担ってほしいし、選手たちも君のリーダーシップを必要としている」

 ところが、ポールが首を縦に振って前に進もうと思うのには、少しの時間を要したようだ。

「クリスにリアリティが芽生えたのは、トレーニングキャンプが始まって少し経ってからのことだ。選手たちとコートでプレーしたことで、だんだん実感が湧いてきているように見えた」とドノバンHCは言う。

 最終的にポールは率先してリーダーシップを発揮し、特に若手選手を伸ばそうという意図の感じられるプレーが手にとって見えるようになっていった。
 
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「自分の最大限をサンダーで表現する」ポールが語る本音