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「あと1人で良かった」。元クリッパーズのベバリーが明かす、2019年オフのSGA放出の舞台裏<DUNKSHOOT>

ダンクシュート編集部

2025.06.25

元クリッパーズのベバリー(左)が、SGA(右)を放出した2019年のトレードを振り返った。(C)Getty Images

 2019年7月、ロサンゼルス・クリッパーズは、シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(SGA)をポール・ジョージ獲得のためにオクラホマシティ・サンダーへ放出した。この大型トレードは当時、カワイ・レナードに十分なサポートを与えるという点で、理に叶った取引と見なされていた。

 しかしその後、SGAがリーグ屈指のスター選手に成長したことを考えると、クリッパーズは、このトレードを悔やんでいるかもしれない。

 元クリッパーズのパトリック・ベバリーによると、当初チームはSGAをトレードするつもりはなかったという。ただ、レナードがスターの相棒を求めたことで、チームはサンダーのジョージに狙いを定めた。

 ベバリーは自身のポッドキャスト番組『Pat Bev Pod』で当時を振り返り、次のように語った。

「(ジョージ獲得は)カワイの意向があったと思う。スター選手が加入すると、たいてい自分に必要以上のサポートを求めるものなんだ。外から見ていて思うに、カワイは俺たちのチームの内情をよく知らなかったんじゃないかな。

 あの年(2018-19シーズン)、俺たちはゴールデンステイト(ウォリアーズ)と6戦を戦った。しかもスタメンに2人のルーキーを起用してたんだ。あと1人、レナードだけで良かった」

 シーズン終了後、FA(フリーエージェント)市場でクリッパーズはレナードを狙っていた。だがレナードは、「自分の隣にもう1人スターがいないと契約しない」とチームに要求。その結果、フロントはジョージ獲得のため、SGA、ダニーロ・ガリナーリ、5つの1巡目指名権、ふたつのスワップ権(交換権)をサンダーに譲渡した。

 ベバリーによれば、当時はレナードとジョージが加わることにチーム全体が喜んでいたが、自身は「あと1人の柱がいれば十分」と感じていた。
 
「レナードが、ガリナーリ、シェイ、(ランドリー)シャメット、俺、ルー(ウィリアムズ)、トレズ(モントレズ・ハレル)と一緒だったら……。俺たちは『ポール・ジョージまで来たのかよ、ヤバすぎ!』って大盛り上がりだった。でも正直、主役が1人いれば、来年は一気に優勝狙えるチームになっていたと思う」

 18-19シーズンのクリッパーズは、ウィリアムズの平均20.0点を軸に、ガリナーリが19.8点、6.1リバウンド、ハレルが16.6点、6.5リバウンド、SGAが10.8点、3.3アシストをマーク。シーズン中にトレード加入した新人のシャメットも平均10.9点とすぐに馴染み、SGA、ベバリー、シャメット、ガリナ―リ、イビツァ・ズバッツの先発5人で、15勝2敗の好成績を残した。

 ウエストの第8シードで臨んだプレーオフでは、1回戦で王者ウォリアーズに2勝4敗で敗れたものの、第2戦では最大31点差から逆転勝ちを収めるなど、チーム力の高さを証明。ベバリーは「このチームに必要だったのは真のリーダーだけだった」と強調する。

 結果的に、サンダーはSGAとクリッパーズから得たドラフト指名権で獲得したジェイレン・ウィリアムズを中心に、今季球団史上2度目のチャンピオンに輝いた。一方のクリッパーズは毎年のようにプレーオフに進出しているが、いまだ頂点には届いていない。

 トレードから6年。両チームの明暗はくっきりと分かれた。

構成●ダンクシュート編集部

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