試合後の会見でそう述べた指揮官は、さらにこう付け加えた。

「ベストコーチと呼ばれる指揮官たちが共通して口にする、“名将たる秘訣”というものがある。それは、選手たちに『彼は自分たちのことを信頼してくれている。彼は自分たちの成長をサポートしたいと思ってくれている』と思われる存在であることだ。

　メダルやトロフィーを手に入れたり、良いシーズンを送ることも喜ばしいが、究極的には、20年後に選手たちに再会した時に、『あなたは私のことをサポートしてくれた。自分のキャリアを築く助けになってくれた』と言ってくれたなら、それが一番嬉しい」

　選手たちとそうした関係性を築くこと、それが彼のチーム作りの根底になっているという。

　この試合でチームハイの19得点をマークしたフォワードのミカエル・ヤントゥーネン（フェネルバフチェ）は、そんなトゥオビHC の魅力をこう語る。
  「このチームは本当にみんな仲がいい。でも、そういう集団を率いることは時に難しい。でも彼は、どういうところで自由を与えて、どういうところで締めるか、という絶妙なサジ加減を心得ているんだ。ヘッドコーチである彼を筆頭に、スタッフや選手、みんなの間にひとつのカルチャーを作り出したこと、それが彼の手腕について大いに評価すべきところだと思う」

　試合終盤にジョージアの猛追を断ち切る２連発３ポイントを決めたエリアス・バルトネンも、「彼は常に、“今を生きている”人。試合であっても、練習であっても、常に『この瞬間を存分に味わって楽しめ』と言ってくれる」と描写した。

　12日に行われる準決勝では、グループリーグ対戦時に61－91 と大敗したドイツと再度顔を合わせる。

「このメンバーと、生きるか死ぬかの勝負をできることにものすごくワクワクしている。金曜日が楽しみだ」

　自信も勢いも最高潮のフィンランドは、はたして今大会最大のアップセットを起こせるか。

文●小川由紀子

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