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NBA

「たいていは“何か”があってからその重要さに気づく」“鉄人”ルイス・スコラが長くプレーするために心がけていること

小川由紀子

2020.05.08

昨年のW杯では39歳という年齢を感じさせない働きで準優勝に貢献。大会後にイタリアのミラノから声がかかり、ユーロリーグに復帰した。(C)Getty Images

昨年のW杯では39歳という年齢を感じさせない働きで準優勝に貢献。大会後にイタリアのミラノから声がかかり、ユーロリーグに復帰した。(C)Getty Images

 アルゼンチン代表では、マヌ・ジノビリやファブリシオ・オベルトらと黄金時代を築き、2004年のアテネ五輪では準決勝でアメリカを撃破。続く決勝でもイタリアを破って金メダルを獲得した。この試合でスコラは、チームハイの25得点、11リバウンドのダブルダブルをマークし、同国初となる五輪制覇の立役者となった。

 NBAでは新シーズンを最高のコンディションで迎えるために、夏の国際大会を辞退する選手が少なくないが、スコラは逆に「夏にプレーすることは、最高の調整になる」と、ほぼ休みなく国際トーナメントに参戦してきた。

 39歳で参戦した昨年のW杯でも、大会ベスト5に輝くなどチームの屋台骨と呼ぶにふさわしい活躍を披露したが、数字以上に観る者のハートを熱くしたのは、インサイドで身体を張り、常に先頭を切ってディフェンスに戻るなど、年齢を微塵も感じさせない魂のこもったプレーだった。

 スペインとの決勝は惜しくも敗れたが、試合後に「この大会でのプレーはキャリアでベストだったのではないか?」と聞かれると、彼自身も「そうだと思う」と答えた。メダルの色はゴールドではなかったが、すべてを出し切った充足感のようなものが、その表情からうかがえた。
 
 ただその一方で、「今日が代表最後の試合か?」という質問に対しては、「そんなことは一度も言っていないよ」と即座に否定した。「先のことはわからない。明日の朝、『もうやめよう』と思って引退することだってあるかもしれない。ただ現時点で私は、『引退する』とはまだ一度も言っていない」。

 盟友のジノビリとアンドレス・ノシオーニは、2016年のリオ五輪を最後にアルゼンチン代表のユニフォームを脱いだが、スコラは東京五輪出場を視野に入れている。W杯のあとヨーロッパに戻ったのも、再びユーロリーグのようなハイレベルの環境に身を置いて、5大会目の五輪出場に備えるためだ。

 昨年のW杯の際も、大会に向けて厳しい特訓を積んだことが話題になったが、自身もかつてプロバスケットボール選手だった父親のマリオは、息子ルイスのトレーニングの模様をこう評する。

「朝の7時からコーチたちと走りに出かけ、そのあともトレーニングが延々と続く。何時間もひたすら同じエクササイズを繰り返すんだ。まるで『ロッキー』のようだよ」
 
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