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NBA

史上最高のフォワード、ラリー・バード。“跳べない白人”が頂点を極めた3つの理由【NBAレジェンド列伝・前編】

出野哲也

2020.06.10

 バードとマジック、対照的な個性を持つ2人のスター選手同士の一戦は、大学バスケットの枠を超える人気を集め、テレビ視聴率は記録的な数値を叩き出した。試合はミシガン州大の徹底的なマークに遭い、バードが21本中14本のシュートを外して64―75で敗退。全米制覇の宿願を叶える場はプロへと持ち越された。

■3度のNBA制覇を可能にした天才的バスケットボールセンス

 彼ら2人のライバル関係は、バードがセルティックスに、マジックがロサンゼルス・レイカーズに入った後もずっと続いていく。大学時代の人気がそのままプロにも引き継がれたことで、70年代末にどん底だったNBA人気は劇的に回復した。見た目や性格は正反対でも、バスケットボールに賭ける情熱という最も大切な部分で共通していた2人は、やがてかけがえのない親友同士となった。

「バードがちやほやされるのは肌の色のおかげだ。黒人だったらただのいい選手としか思われていないだろう」
 
 1987年のカンファレンス決勝で敗れたデトロイト・ピストンズのアイザイア・トーマスは、腹立ちまぎれにそう語った。のちに囂々たる非難を受けてトーマスは謝罪したが、彼の発言はある意味では真実を突いていた。

 もしもバードがアスリートタイプの黒人選手だったら、成功を収めるのは割合簡単だっただろう。そうではなく、典型的な“跳べない白人”でありながら史上最高のフォワードとなった点に、彼の凄さが凝縮されている。ではどうやって彼は身体のハンディキャップを乗り越えたのか。主に理由は3つある。

 まず1つは、あらゆる方法で得点できたことだった。角度や距離、ガードする相手など一切選ぶことなく、レイアップにジャンプショット、スクープショットにフェイダウェイなど、最も適切なスタイルを瞬時に選択できた。天性のシュート能力があったのではない。誰よりも長い時間をかけてシュート練習を積み、オフシーズンには必ず新たなオフェンス方法を研究して身につけた、不断の研鑽の結果だった。(後編に続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2007年12月号掲載原稿に加筆・修正。

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