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NBA

NBA史に残るジョーダンの名場面“ザ・ショット”の“裏の主役”となったクレイグ・イーロー【NBA名脇役列伝・前編】

出野哲也

2020.07.10

 実際に1年目はわずか7試合の出場に終わり、ロケッツでプレーした3年間でも、計88試合の出場で平均2.4点しか記録できなかった。入団時に彼がそう考えたのも、当然だったのかもしれない。

 そして、ついに恐れていた日がやってくる。1986年のトレーニングキャンプ中に、チームから解雇を通達されたのだ。

「前年に結婚したばかりだったからね。代理人はすぐに新しいチームは見つかると言っていたけれど、12月が過ぎても声は掛からなかった」

 それでもマイナーリーグのCBAを経て、翌年の1月にキャブズと10日間契約を結ぶと、28日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦で18得点、12リバウンドをマーク。さらに翌日のミルウォーキー・バックス戦では、26得点と予想外の大活躍を見せた。

 結局、そのままシーズン終了までチームに残り、オフのエクスパンション・ドラフトでもプロテクトされるなど、キャブズに欠かせない戦力として認知される。特にディフェンス面でレニー・ウィルケンズ・ヘッドコーチ(HC)の信頼を得たイーローは、スター選手のマーカーも任されるようになった。
 
 当時のチームメイトだったスティーブ・カー(現ゴールデンステイト・ウォリアーズHC)は、イーローの印象をこう語っている。

「彼についてよく覚えているのは、相手のダンクをブロックしようとしているシーンだ。腕が長くてジャンプ力もあったから時には成功したけど、そのまま決められることもあった。きっと、ダンクの瞬間を捉えた写真の多くには、イーローが一緒に写り込んでいるんじゃないかな(笑)。あの積極的にチャレンジする姿勢が好きだったし、彼は誰が相手でも恐れなかったよ」

 イーローのポジションはシューティングガード。そのストッパーということはすなわち、ブルズ戦ではジョーダンとマッチアップすることを意味した。

「彼と対戦する時は正攻法で挑み、トラッシュトークもほとんどしなかった。向こうは『お前に俺が止められるのか?』なんて言ってきたけど、こっちは『ミスター・ジョーダン』と、年下の彼に敬意を払って応じていたよ」(後編に続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2014年11月号掲載原稿に加筆・修正。

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