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バスケW杯

オーソドックスに戦いすぎた日本代表…東京五輪で勝機を見出すには"奇策"も必要だ

鈴木栄一

2019.09.12

アジア予選で平均25点以上をあげて救世主となったファジーカスだが、今大会では八村と渡邊の陰に隠れ、平均14.4点にとどまった。(C)Getty Images

アジア予選で平均25点以上をあげて救世主となったファジーカスだが、今大会では八村と渡邊の陰に隠れ、平均14.4点にとどまった。(C)Getty Images

 こういった個々の経験の差、技術の差に加えて気になったのは、戦略面においてのチグハグさだ。まず、守備においては、トレーニングマッチの時から目立っていた3ポイントを、ノーマークで打たれすぎた。ゴール下でのイージーシュートを許さないことを最優先事項とし、インサイドを固めるのは適切な選択だろう。とはいえ、それこそ何度も同じような形で崩されており、大会中に何かしらの対策は見せてほしかった。また、サイズで劣ることを分かっていながら、前から激しく当たっていくプレスなどの守備の仕掛けが皆無だったのも疑問符がついた。

 一方、攻撃においては、トレーニングマッチで効果を発揮したリバウンドからの素早い攻守の切り替えから、一気にシュートまで持ち込むアーリーオフェンスを減らす方針に変更。これは点の取り合いは日本にとって分が悪く、ゲームテンポをコントロールするための策だったが、結果としてはまったくの裏目に出た。

 そもそも今大会の日本は、八村、渡邊とアジア予選の出場が少なかった2人を攻撃の軸としており、予選で平均25点以上をマークしたファジーカスを起点とするパターンはほとんどなかった。先述の2人は代表のチームメイトと一緒にプレーした時間が少なかったため、精度の高いコンビプレーは難しい。
 しかし、アーリーオフェンスを減らすことで、必然的に増加するハーフコートオフェンスは相手も守備の隊形をしっかり揃えて対応できるので、個の力で打開するのは困難だ。そうなるとタフショットが増えてしまい、相手に速攻を喰らいやすくなる。それが今回のワールドカップだった。

 振り返れば日本は、攻守において極めてオードソックスな戦いをしていた。だが、それは強豪国が取るべき戦法であって、格下である日本に適したスタイルだったのかは大いに疑問だ。

 1年後の東京オリンピックは、参加チームも
12に絞られるため、試合のレベルはさらに上がる。そのような舞台で発展途上の日本がリスクを負うのは当たり前で、何か“奇策”を仕掛けなければ勝機は巡って来ないだろう。それこそ、どんな相手でも1試合で30本の3ポイントを打つニュージーランドのような強烈な何かを、打ち出すことが必要ではないだろうか。


 オリンピックに向け、様々な面で大きな見直しを図ることを余儀なくされているのは間違いない。

文●鈴木栄一
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