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バスケW杯

「Bチーム」とすら呼べなかったアメリカ。スター選手が辞退する風潮が生まれたのはなぜ?

杉浦大介

2019.09.13

 NBAのシーズン重視といえば聞こえはいいが、その背景で代表チーム軽視の風潮が生まれつつあることは否定できない。コランジェロが中心になって進めてきた長期的視野でのチーム作りが功を奏し、2008年以降のアメリカ代表は五輪とワールドカップで連勝を続けてきた。その過程で、代表チーム入りはスーパースターのステイタスのひとつになった。

 しかし、そうやって勝ち続けるうちに、“国際大会は勝って当然”という気の緩みが再び出てきている感もある。特に五輪より一段格が落ちるワールドカップでは、スター選手の参加意欲を駆り立てるのが難しくなり始めているのだろう。


「今後、ワールドカップは若手を登用する場で、オリンピックに向けたトレーニングの大会になっていくのかもしれない」
 コランジェロのそんな言葉が示唆する通り、ブランド価値も高いオリンピックでは多くのスター選手が代表に戻ってくるに違いない。ワールドカップをいわば“若手のオーディション”の場にして、他の実績あるスーパースターと五輪で融合させれば、より強靭な代表チームができあがるという見方もある。

 しかし、このように一部の国際試合を軽視し、短絡的なチーム作りに走ったせいで、00年代前半にアメリカ代表は勝てない時代を迎えたのではなかったか。この状態が続けば、今後、より継続的なチーム作りを進めた他国に追い上げられるリスクは否定できない。

文●杉浦大介 構成●ダンクシュート編集部


【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。

※『ダンクシュート』2019年10月号より加筆・修正。コランジェロのコメントはスポーツ・イラストレイテッド電子版からの引用。
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