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NBA

巡り合わせの妙により、わずか2週間で天国と地獄を味わった“ヨーロッパ現役最高シューター”マイク・ジェームズの物語

小川由紀子

2020.08.02

 地元ポートランドでブレイザーズと激突したシーズン開幕戦から出場し、12得点と上々のデビューを飾る。7試合目のブルックリン・ネッツ戦で24得点、5アシストをマークすると、NBAでプレーできる45日間の期限が迫った11月26日のミネソタ・ティンバーウルブス戦ではチームハイの26得点、7アシストとアピールし、期間終了後の12月7日、晴れて本契約を締結。2WAY契約からコンバートされた選手は、ジェームズが第1号だった。

 ところが、喜びも束の間。そのわずか2週間後、彼はサンズから解雇されてしまう。顛末はこうだ。

 ガードのデビン・ブッカーが負傷したため、チームは下部組織のノーザンアリゾナ・サンズに加入したばかりのアイザイア・カナーンをコールアップ。カナーンは毎試合のように2桁得点を稼ぎ出したほか、アシストやリバウンドでも安定した数字を叩き出し、フロントから評価を勝ち取った。

 カナーンが穴を埋めているうちに、負傷離脱していたデボン・リードとブッカーに復帰の目途が立つ。そしてロースターに空きが必要となったフロントは、ジェームズの放出を選択したのだった。
 
 もし本契約を結ぶ前だったなら、ウェイブされず2WAY契約のままチームに留まっていただろう。しかし皮肉なことに、コンバートされ15人の正ロースター枠の一員になっていたことで、一夜にして職なしとなってしまったのだ。喜びと希望に満ちあふれていたジェームズにとって、あまりに酷な通達だった。

 出場した32試合でマークした平均10.4点、 3.8アシストというスタッツは、決して悪い数字ではない。サンズのファンやメディアの反応を見ても「ジェームズをカットすべきではなかった」という声がほとんどだった。

 その後、ニューオリンズ・ペリカンズと新たに2WAY契約を結んだが、4試合に出場したのみで2月に解雇。その後古巣のパナシナイコスに復帰したものの、この退団は一説によれば、ジェームズの方から願い出たとのことだった。
 

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