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NBA

【プレーオフ激闘録】シャック&ペニーを擁し、王国建設を夢見たマジックの“歓喜”と“悲劇”|前編

大井成義

2020.08.24

1992年に入団したシャックは瞬く間にリーグのトップスターに上り詰め、翌年のドラフトではペニー獲得を進言。夢のスーパーデュオが誕生した。(C)Getty Images

1992年に入団したシャックは瞬く間にリーグのトップスターに上り詰め、翌年のドラフトではペニー獲得を進言。夢のスーパーデュオが誕生した。(C)Getty Images

 その年のドラフト1位候補は、“ファブ・ファイブ”で一世を風靡したミシガン大のクリス・ウェバー。マジックはシャックとウェバーによる超強力なフロントコートの構築を目論んだが、すでにチームの絶対君主となっていたシャックがそれに待ったをかけた。

 シャックはオフに参加した映画の撮影現場で、メンフィス州大(現メンフィス大)の大型PG、“マジック・ジョンソンの再来”と謳われるアンファニー“ペニー”ハーダウェイと出会う。撮影では実戦さながらのプレーをするシーンが多々あり、その時一緒にプレーしたペニーの能力にシャックはすっかり惚れ込む。すぐさまフロント陣にドラフトでのペニー獲得を要請、ここにシャック&ペニーという夢のスーパーデュオが誕生する。

 マジックは1989年のチーム初ドラフトで、SGとSFをこなすニック・アンダーソンを、翌90年に3ポイントの名手、SFのデニス・スコットを獲得。そして1992年と翌93年にシャックとペニー。さらには1994年のオフ、ブルズで優勝を知るベテランPFのホーレス・グラントと、万能型ガードのブライアン・ショウがFAで加入。これで役者は揃った。それも、若さと実力を兼ね備え、さらには個性的な選手が顔を揃える、とびきり魅力的なチームが完成したのだった。
 
■ジョーダンズ・ブルズを撃破し、創設6年目でファイナルに進出

 迎えた1994-95シーズン、マジックは早々と結果を出してみせた。57勝25敗をマークし、イースタン・カンファレンスの首位を獲得する。

 ペニーは2年目にしてオールNBA1stチームに、シャックは2ndチームに選出。凄まじいまでの破壊力を持つシャック&ペニーの人気はうなぎのぼりとなり、陽気でノリのいいチームの雰囲気や、アップテンポなプレースタイルは人々の心を鷲掴みにした。地元オーランドのみならず、全米のスポーツファンがマジックに熱い視線を送り、“チーム・オブ・フューチャー”、そう形容するメディアもあった。

 プレーオフのカンファレンス準決勝で眼前に立ちはだかったのは、ジョーダン率いるブルズだった。ジョーダンは1年半の“引退期間”を経て、3月に野球から戻ってきたばかり。そんな状態でも、普通ならば尻込みしてもおかしくない相手だったが、若さと勢いがあり、怖いもの知らずのマジックに不安など微塵もなかった。
 
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