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NBA

【プレーオフ激闘録】悪夢の4連続FTミスが運命の分かれ目に…瓦解した“マジック王国”建設の夢|後編

大井成義

2020.08.24

ファイナルでシャックとペニーは合わせて平均53.5点、17.3リバウンド、14.3アシスト。敗れはしたが、2人がいればマジック時代は必ず訪れると思われた。だが、わずか2年後に解散となる。(C)Getty Images

ファイナルでシャックとペニーは合わせて平均53.5点、17.3リバウンド、14.3アシスト。敗れはしたが、2人がいればマジック時代は必ず訪れると思われた。だが、わずか2年後に解散となる。(C)Getty Images

 NBAの歴史において、若いタレントを数多く揃え、将来を嘱望されたチームは枚挙に暇がない。しかしその中でも、1990年代中盤のオーランド・マジックは特別な存在だった。人気・実力を兼備したシャック&ペニーの超強力コンビを中心に、彼らはファイナル進出を果たす。王国建設を夢見たマジックが1994-95シーズンに味わった“歓喜”と“悲劇”に迫る。

   ◆   ◆   ◆

 ファイナルで待ち構えていたのは、タフなウエスタン・カンファレンスを6位で終え(47勝35敗)、プレーオフで何度も土俵際に追い込まれながら、しぶとく勝ち上がってきたディフェンディング・チャンピオンのロケッツ。それまでのNBAの歴史で第6シードから優勝したケースは一度もなかったが、経験豊富なベテランを擁する王者は、下馬評を覆しての2連覇を虎視眈々と狙っていた。

 ロケッツの大黒柱、アキーム・オラジュワンは前シーズンにMVPを初受賞し、リーグのトップセンターとしての地位を確立。ファイナルの4か月前、チームに元オールスターのクライド・ドレクスラーが電撃トレードで加わり、選手層はさらに厚みを増していた。
 
■勝利を手中にしたかと思った矢先、悪夢の4連続FT失敗で逆転負け

 オラジュワンとドレクスラーはヒューストン大時代のチームメイト。1983年のNCAAトーナメント決勝では2点差で惜敗し、あと一歩のところで優勝を逃している。その時の忘れ物を今回何としてでも受け取ろう、そう2人は語り合っていた。

 この年のファイナルは、前年度のユーイングvsオラジュワンに続き、シャックvsオラジュワンという新旧トップセンターの戦いにも注目が集まっていた。果たして世代交代は起こるのか。マジック有利の声が大勢を占めるなか、全米が注目する話題満載のファイナル初戦が、オーランド・アリーナで幕を開けた。

 最初に主導権を握ったのはホームのマジックだった。第1クォーターに11点のリードを奪い、第2クォーター途中には最大20点にまでその差を拡大する。

 だが、しぶとさが売り物のロケッツがそう簡単に引き下がるはずもなく、第3クォーターにケニー・スミスが5本の3ポイントを沈め、見事逆転に成功。緊迫した勝負は最終クォーターに持ち込まれ、一進一退の攻防が続いた。
 
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