試合最終盤、マジックの攻撃でリードは３点。オフェンシブ・リバウンドをマジックが奪い、時計を進めようとパスを回す。ロケッツはファウルゲームに出る以外なかった。試合時間残り10.5秒にアンダーソンがファウルを受け、この日初めてのフリースロー。１本沈めれば勝負が決まる。

　１本目、ミス。続いて２本目もミス。幸運にも自分めがけて飛んできたボールを掴むと、再びファウルを受ける。もう２本チャンスを得た。カンファレンス決勝までのフリースロー成功率は75.5％、いくらなんでも再び２本外すことはないだろう、そう誰もが思っていた。ところが、３本目もミス。そして運命の４本目、なんと失敗。天を仰ぎ、何やら大声で叫ぶアンダーソン。

　ロケッツ最後の攻撃。残り1.6秒にスミスが起死回生の同点３ポイントをねじ込み、試合はオーバータイムに突入する。同点で迎えた残り5.5秒、インバウンズパスを受け取ったドレクスラーがゴールに切り込み、レイアップを試みるもミス。するとオラジュワンが外から手を伸ばし、見事ティップインに成功する。電光掲示板に表示された数字は0.3秒。

　マジックは99％勝っていた試合を落としてしまったのだった。
  ■シャックの離脱によって、王国の建設は幻に終わる

　第２戦はロケッツの若手が躍動した。３年目のロバート・オリーが11得点、10リバウンド、７スティール、貴重な２ブロックをあげると、２年目のサム・キャセールが３ポイント４／６、31得点、３スティールの大活躍を見せる。前半終了時点のスコアは63－41。後半マジックは必死の追い上げを見せたが、追い付くには至らなかった。

　舞台をヒューストンに移しての第３戦。今度はオラジュワンとドレクスラーのベテランコンビが安定した力を見せつける。２人合わせて56得点、27リバウンド、14アシストを記録し、第３クォーター終了時点で同点だった試合を、ロケッツが３点差で勝ち切った。

　これでロケッツの３勝０敗。一矢報いたいマジックだったが、一度逃した流れは戻ってこず、第４戦にも敗れスウィープ負けを喫する。シリーズを通して、シャックとペニーはそれ相応の数字を残したものの、アンダーソンとスコットの不調が大きく響いた。