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NBA

渡邊雄太の元同僚マルコ・グドゥリッチ。NBAで短命に終わった理由とは

小川由紀子

2021.01.18

 ジェンキンスHCのコーチングスタッフには、グドゥリッチと同じ旧ユーゴスラビア出身で、マッカビ・テルアビブなど欧州でのコーチ経験も豊富なネベン・スパヒジャ(現上海シャークスHC)がいた。彼は“ヨーロピアンバスケからNBAに順応するためには何が必要か”といったことを指導してくれる、グドゥリッチにとって心強い存在だった。

『let it fly』をスローガンに掲げたジェンキンス新指揮官が目指していたのは、人もボールもハイペースで動き、ロングシュートを多用するスタイル。スパヒジャは、グドゥリッチに必要なのは“シュートに行くべきか、ペネトレーションすべきか”といった攻め時を的確に見極めることだと指摘していた。

「彼は、欧州バスケの大家ジェリコ・オブラドビッチHCの下でプレーしていたが、プレースタイルはここでのものとは真逆で、ボールポゼッションをいかにコントロールするかに重点をおいたシステムだった。直接シュートに行くよりも、じっくりボールを回してベストな攻め時を待つ、といったスタイルだ。しかしNBAではとにかくペースが肝。彼は自分からガツガツいくより、周りにさばくタイプなだけに、その部分での学びが必要になるだろう」
 
 しかしその習得には、思いのほか時間がかかった。コートに立てば鮮やかな長距離砲を沈めたり、絶妙なパスワークで魅せたシーンもあったが、地元記者から「グドゥリッチが3ポイントを打つのを躊躇っている要因はなにか?」といった質問がジェンキンスHCに投げかけられるほど、周囲の目にも『let it fly』が求めるプレーには、アグレッシブさやスピード感が足りていないと映っていた。

 デビュー後2か月を過ぎた頃から出番もほとんどなくなり、新シーズンに向けての合宿にも呼ばれず。12月15日に正式に解雇通告を受けると、その3日後にはフェネルバフチェと契約を結び、23日のオリンピアコス戦からスターターとしてユーロリーグに出場。以降、彼が復帰してからの5戦でフェネルバフチェは全勝し、17位から11位にジャンプアップしている。
 
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