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NBA

【追悼コラム】Mamba Forever――不世出の名選手コビー・ブライアントよ、永遠に〈DUNKSHOOT〉

大井成義

2021.01.26

ヘリコプターにはコビーの愛娘ジアナも同乗しており、13歳の若さで帰らぬ人となった。(C)Getty Images

ヘリコプターにはコビーの愛娘ジアナも同乗しており、13歳の若さで帰らぬ人となった。(C)Getty Images

 その後、生中継が予定されているホークス対ウィザーズ戦が始まるまで、呆けたようにツイッターや現地のニュースサイトを眺めていた。

 午前8時から試合中継が始まり、番組冒頭の挨拶でホークスの名物アナウンサー、ボブ・ラスバンが目を真っ赤に充血させながら、コビーの事故について語る姿を見てまた涙。黙祷後の「コービー! コービー!」のチャントを聞いてさらに涙。

 そして試合開始にあたり、トレイ・ヤングが背番号8をつけてコートに立つ姿を見て再び涙。解説によると、ヤングにとってコビーはとびきりのアイドルであり、またコビーと一緒に亡くなった次女のジアナは彼のプレーを見るのが大好きで、今シーズンもホークス戦を2試合観戦しに訪れたそうだ。

 ティップオフ後、両チームはボールを回さず、それぞれ8秒バイオレーションと24秒バイオレーションをあえて犯し、ふたつの数字をコビーに捧げるという儀式に号泣。

 この数時間で、いったいどれだけ泣いたことだろう。どうやら涙腺が完全に崩壊してしまったようだ。なぜこれほどまでに悲しく、切なく、涙が出るのか、自分でも本当に意外だった。デビュー以来、ずっとアンチコビーだったはずなのに……。
 
■アンチも見惚れる以外なかったゴージャスで勝負強いプレー

 コビーがプロデビューを果たした1996年、その頃僕はニューヨークに住んでいた。地元球団ニックスのダイハードファンであり、ニックスが唯一の心の拠り所だった。

 ドアマットと化した現状からは想像できないだろうが、当時はリーグ有数の強豪チームとして名を轟かせ、唯一無二の存在感を発揮していた。ペイサーズ、ヒート、ブルズといったライバルと、毎年のように熾烈な戦いを繰り広げ、ファンの熱気も凄まじかった。

 西の名門レイカーズは、歴史を鑑みればリーグ有数のライバル関係にあったが、チームの再建に苦しんでいた時期で成績的にもメンツ的にもパッとせず、ライバル感は乏しかった。

 それでも、ニューヨーカーにレイカーズファンはいないだろうし、逆もしかり。華やかなパープル&ゴールドのユニフォームを着た選手はすべからく敵であり、レイカーズ戦ともなると心の中で自然と「ビートLA!」のチャントが鳴り響く。そして、東西の最大都市である〝NY vs LA〞の試合は年に2度しかなく、全米の注目度も高いことから、気合いの入り方もいくぶん違った。
 

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