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NBA

八村塁やストックトンからの学びを胸に。初の全米制覇を目指すゴンザガ大、ジョエル・アヤイの成長記〈DUNKSHOOT〉

小川由紀子

2021.03.20

アヤイ(手前)は1年生だった当時、主力の八村(右)とティリー(左)によく教えを乞うたという。(C)Getty Images

アヤイ(手前)は1年生だった当時、主力の八村(右)とティリー(左)によく教えを乞うたという。(C)Getty Images

 大学のスカウティング時にはクイックネスを高く評価されていたが、実際に入学してみると、ゴンザガ大のコーチ陣たちにとって彼のプレースタイルはあまりにもスローだった。

 夏休みはフランス代表チームに合流し、2018年のU18欧州選手権や19年のU19ワールドカップでは主力としてともに銅メダルを獲得。それでもNCAAで数字を残さない限りは認めてもらえなかった。年が若いことや言葉がわからないことで、チームメイトから酷な扱いを受けることもあった。

 そんななか、大学内で深い関係を築いたチームメイトに、彼は2人の先輩、八村とティリーの名前を挙げている。アヤイの両親は、八村の父親と同じアフリカのベナン出身。そんなシンパシーも2人の間にはあったのだろう。

「自分が求めるプレーをするために彼らが努力する姿は、まさに僕にとって手本にしたいものだった。何かわからないことがあれば、僕はいつも彼らのところに教えを乞いに行った。彼らが僕を良い方向へと導いてくれたんだ」
 
 周りの選手たちを観察しては良い部分を学び取っているというアヤイは、八村からは「新しい動きやフットワークを、完璧に自分のものにすべく徹底的に練習し、さらにそれをすぐ次の試合で使う。ただ練習するだけで満足するのはなく、実戦に応用するという目的を持って練習することの重要さ」を学んだという。

 ティリーについては、「試合中の状況を観察して読み取る能力が高く、それを自分のプレーに生かすだけでなく、チーム全員と共有する」といった部分に影響を受けたと話す。

 そしてもう1人、彼の強力なメンターとなったのが、同校のOBジョン・ストックトンだ。NBAのユタ・ジャズで偉大なキャリアを築いた殿堂入りプレーヤーは、入学当初からアヤイを気にかけ、以降もほぼ毎週直接会っては、様々なアドバイスをくれるのだという。

 夜中の1、2時までシュート練習をして、寮に戻らずそのままロッカールームで仮眠をとって大学の授業に行く日もあったというが、その努力はついに実を結んだ。2年目の昨季、平均出場時間は前年の5.6分から29.3分まで伸び、平均10.6点、6.3リバウンド、3.2アシストをマーク。WCCトーナメントのMVPにも輝いた。
 
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