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NBA

ファンへの暴言、チケット剥奪、OBの出禁…ニックスのオーナー“狂人”ドーランの常軌を逸した行動【NBA秘話|後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2021.05.18

 この件について、『ESPN』の記者がガーデンに問い合わせたところ、ハマースキーのシーズンチケットの状況については“ノーコメント”であるとのこと。ドーランの指示であることに疑いの余地はないわけで、このしつこさや陰湿さは常軌を逸していると言わざるを得ない。見知らぬ一般のファンに対してであるからなおさらだ。

 ハマースキー以外に何人もの一般ファンとも揉めており、例えば年老いたニックスファンから送られてきた叱咤激励のEメールに、“(ブルックリン)ネッツを応援してろ!”とわざわざ返信する始末。ここまでくると、恐怖すら感じてしまう。こんな男が、いったいどうやってニックスのオーナーになり得たのだろうか。
 
 御年94歳のチャールズ・ドーランはニューヨークエリアのケーブルテレビシステムを構築し、それらを普及させるための人気コンテンツとして、1970年代にニックスやNHLのレンジャースと放映契約を結ぶ。後に『ケーブルビジョン』と名付けられたその企業は、全米有数のケーブルプロバイダーへと成長し、また同時期にケーブルテレビ放送局の『HBO』も創設、一代で巨万の富を築き上げた。そして1994年、ガーデンとそれに付随するニックスやレンジャースの買収に成功する。

 そのチャールズのドラ息子がジェームズである。ミュージシャンを目指したこともあり、一時期はアルコールやドラッグで身を持ち崩し、1993年にはドラッグの更生施設へ入院している。父親の会社に就職すると、1999年にガーデンのチェアマンの座を引き継ぎ、それから22年間に渡り、名門ニックスの実質トップの座に君臨している。

 ドーランがこの21年間で出した結果は皆無に等しい。逆に、しでかした失策や起こしたトラブルは数知れず。2020年3月に『ニューヨークポスト』がそれらをリストアップしており、人間関係ではスパイクやオークリーの他にも、実況アナウンサーのマーブ・アルバートやラリー・ブラウン元ヘッドコーチ、シーズンチケット・ホルダーである映画監督のウッディ・アレンなどとも一悶着を起こし、関係性を断っている。
 
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