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NBA

ファンへの暴言、チケット剥奪、OBの出禁…ニックスのオーナー“狂人”ドーランの常軌を逸した行動【NBA秘話|後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2021.05.18

■彷徨える泥船ニックスはこのまま沈みゆくのか?

 スパイクとの一件について、ニックスの広報はすぐさま声明文をリリースした。そこには、“スパイクが被害者であるなんて馬鹿げている”“出入り口の件については、これまで何度もスパイクにVIP専用出入り口を使うよう頼んできた”“スパイクがドラマを盛り上げるために、このような誤った論争を起こすのは残念だ”“あの日、ドーランとスパイクは笑顔で握手している”などと、一企業の公式文書としては稚拙すぎる文言が並んでいた。

 それらすべてをスパイクは完全否定し、言い訳だと明言。『First Take』ホストのスティーブン・A・スミスは、出入り口変更の事前通達について、電話やEメールの記録は一切残っていない、ニックスは証拠を提出すべきだと語っている。

 番組に出演していた約20分間、憤りと怒りを隠さず興奮状態のスパイクだったが、一転唇を震わせ、薄っすらと涙を浮かべながらニックスへの想いを吐露するシーンがあり、胸を打たれた。
 
「心の中で、俺はいまだブルックリンから来た少年のままだ。ガーデンに忍び込んでた頃のね。俺はニックスを愛している。ウィリス・リード、レッド・ホルツマン、ディック・バーネット、カジー・ラッセル、デイブ・ストールワース、ネイト・ボウマン、ビル・ブラッドリー。彼らを見て俺は育った。彼らは俺の男たちだ。天井を見ると、1972-73シーズンの優勝バナーがぶら下がってるけど、あれが最後だなんて情けないよ。俺が生きている間に、次のチャンピオンシップ獲得を見ることができるのか? 俺の息子は今24歳だけど、彼はニックスが優勝する姿を見ずに死ぬんじゃないのか?」

 スパイクはコートサイド最前列のシーズンチケットに毎年いくら支払っているか知らないらしく、本人の依頼でスティーブン・Aが調査したところ、2019-20シーズンは1試合1席3400ドル(約37万円)で、2席保有しており、プレシーズンゲームも合わせた1シーズンのチケット代は計29万9000ドル(約3260万円)。もう1人の番組ホスト、マックス・ケラーマンが、「物価を考えなかったら、30万ドル×30年で、これまで10ミリオン(約11億円)近く使ったってこと?」と驚くと、「バカみたいだな」と高笑いするスパイク。
 
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